新井 里菜さん:製菓・2013年春コース
「住んでみないとわからない、フランス菓子の価値」
エコール 辻 東京のオープンキャンパスに来たときに、初めてフランス校があることを知り、そのときからずっと留学に興味をもっていました。辻製菓マネジメントカレッジに入学して、1年目の段階でヨーロッパのお菓子街道の研修旅行に参加したんです。そのときは、本場なのにフランスの料理やお菓子を見て「日本のほうがきれいだな」と思ってしまったんです。そこで一度はフランス校には行かなくてもいいのかな、と思っていました。
でも、その後も学校で学ぶうちに、たった1週間くらいでフランス菓子の価値を決めていいのか、そして、もっと地方のお菓子も見てみたい、と考えはじめました。何より、フランス菓子を学んでいるのに、フランスについて全くの無知だということに気づき、それならもう行くしかない!行って住んでみないと分からない!と、フランス校留学を決意しました。
(左)シャトー到着!これから新しい生活が始まります!
(右)何を食べてもおいしい!そして、みんな愉快な仲間ばかり。
「住めば都。生活にはすぐに慣れます」
最初はなんでも日本と比べてしまうので、とても不便に感じていました。湯船につかりたい、と何度も思いました。でも、寮生活にはすぐに慣れました。もちろん共同生活なので、いろいろと気をつかうことも多く、最初は大変だと思っていましたが、慣れてしまうと、不思議と気楽に毎日を過ごすことができます。
フランス人のイメージも思っていたのと全然ちがいました。
初めて近くの村に買い物に行ったとき、カタコトのフランス語にもかかわらず、お店の方々が優しく接してくださって、一気にフランス人への高感度がアップしました!こっちの人は何事にもはっきりしているので、知らないことは知らないと言えば、私でもわかるような易しい単語を使ってゆっくり説明してくれるんです。私はできるだけ、フランス語で伝えたいので、常に電子辞書を持ち歩いて、コミュニケーションをとろうとがんばっています。最近は、どんどんフランス人としゃべることが楽しくなってきています。
(左)同じ部屋のメンバーと。毎日にぎやかです。
(右)村の人たちともがんばってコミュニケーション!
「毎日がフル回転!」
毎日の授業は、ハードな日とゆっくりできる日があります。
実習以外にも同じ班の仲間たちと打ち合わせをしたり、覚えることもたくさんあって休んでいる暇がありません。こちらに来て1ヶ月がたちましたが、今は寝る時間が惜しいくらいです。
実習は少人数で行われるので、私はいつも時間に追われていて、自分がどれだけ手が遅いかのかを毎日思い知らされています。でも、どんなに作業が遅れていても、お昼の時間になると、必ず「さあ手を止めよう!食事の時間だ!」といわれます。はじめはぜんぜん慣れませんでしたが、これがフランス人の考え方なんだということがだんだんわかってきました。そう、フランス人は「メリハリ」をとても大事にしているんです。集中するところと、休むところをちゃんと区別している気がします。
私はおっちょこちょいなので、とにかく、パニックにならず、もう少し作業を冷静にこなせるようになることが今の目標です。初めてまかない当番になったときに、ババロワの作り方を間違えて、最後に加える生クリームを最初に牛乳と一緒に炊いてしまって、最初かなり落ち込みました(苦笑)。フランス校にいる間に、メリハリをつけて仕事ができるようになりたいと思っています。
(右)講習は間近で先生の手元や動作が見られて、勉強になります!
(左)とにかくいまは落ち着いて段取りよく仕事ができるよう心がけています。
「発見だらけの週末のお出かけ!」
最近は毎週リヨンに出かけています。
初めてリヨンに行ったときはよく晴れていて、美しい景色に感動しました!そのときはキュイジニエの人と行ったので、レストランにも入れてとても充実していました。その次からはずっと雨だったのですが、驚いたのは、あまり傘をさしている人がいないということ!
フランス人は傘を持って歩かないようです。あと、リヨンはメトロの切符が1時間有効で、その間、電車・バス等が乗り放題ということにも驚きました。何度か道に迷いましたが、人に聞きまくったら、どの人もていねいに説明してくれました。わざわざ道に出てジェスチャーで伝えてくれる方もいて、コミュニケーションってなんとかなるもんですね。
(左)リヨンのベルクール広場では楽団がゴキゲンな音楽を演奏していました。
(右)春のリヨンは桜が満開です!日本に負けないくらいキレイです!
(左)リヨンのシンボル・フルヴィエール教会も青空にマッチしています。
(右)大きな2つの川が流れていて、旧市街は世界遺産に登録されています。
食べ歩きも、すでに5件行きました!
まずはリヨンのお店から、ということで、セーヴSEVE、ロランシーROLANCY、ブイエBOUILLET、ベルナションBERNACHON、レピエゾンL'EPIAISONをたずねました。
どのお店も思っていたよりもクラシックなものが多くて、私の大好きなタルト・オ・シトロンなどはどのお店に行ってもあって、お店ごとに食べ比べができるのが嬉しいです。また、色使いがすごいです。日本人にはない感覚がおもしろいし、サイズも大きいです。あと、梱包はちょっと雑かもしれません。持ち運んでいる間にすぐに形が崩れてしまうので、そのあたりは日本のパティスリーは考えているなあ、と思いました。
(左)M.O.F.のお店「ロランシー」定番のお菓子がズラリ。
(右)バゲットがおいしいと評判のブランジュリー「レピエゾン」。
(左)「ブイエ」ではカラフルなマカロンに圧倒されました。
(右)「セーヴ」のお菓子。フランスならではの色使いに驚きました!
「いまからドキドキの研修」
私は研修を希望しています。日本で先輩たちのブログを見ていると、とても楽しそうな雰囲気だったのでいまから楽しみです。でも、研修に出たら本当に一人なので、やっていけるのかとても不安にも思っています。一人暮らしも始まるので、いまから自己管理をしっかりできるようにしたいです。
今の段階ではアルザス地方に興味があります。フランスとドイツの文化が混ざっているのが興味深いです。私はクリスマスの時期に研修ができるので、フランスのハイシーズンの仕事が見せてもらえてラッキーです。いまは、研修に出たときに困らないようラボ内でよく使うフランス語を必死で勉強中しています。
(左)サーヴィスの実習では、先生とのコミュニケーションに悪戦苦闘(汗)
(右)フランス語の授業は楽しい!はやくもっとフランス語が話せるようになりたいです!
「後輩のみなさんへ」
もしいける環境にいるなら、今のうちにフランスを見ておくことはこれからのパティシエ人生のなかでとてもよい経験になると思います。まず材料の質が違うので日本で習ったお菓子でも味が変わってきます。経験はどんなにたくさんあっても邪魔にはならないと思います。
お菓子やヴィエノワズリーのあるなかで生活していると、なぜこのときにお菓子がつくられるのか、この時間にこれが食べられるのかが分かり、つくりがいがあるというか、何か目的がはっきりと見えてきます。分からないことがあれば、すぐそばに先生方もいるので、学ぶにはとてもよい環境だと思います。
本当に毎日があっという間で、目がまわるほど忙しくて楽しいです。無我夢中というのはこういうことを言うんだろうなと思いました。どの先生方も調理・製菓・事務等関係なくどんな質問にも丁寧に答えてくれるので、日本にいるときより質問しやすいです。
あと、実習台を取り囲んでの講習は、立ってすぐ近くに寄って見られるので、生地やクリームの状態をすぐに確認できその作業ごとに写真等を撮れることも嬉しいです。本当に来てよかったと毎日感謝です。これから半年、研修も含め約1年間フランスで吸収できるだけ吸収して、日本に帰りたいと思っています。
(写真)最高の環境で、最高の仲間たちと過ごすシャトー生活、まだまだこれからです!
新井里菜さん
ARAI Rina
レクレール校 製菓 2013年春コース
[エコール 辻 東京] 辻製菓技術マネジメントカレッジ 卒
出身高校: 茨城・古河第三高等学校 卒