校長メッセージ

こんな時代にこそ、
真にリアルなものを伝えたい。

料理やお菓子というものは、その時代、その時代のモードに影響され、うつろっていくという側面があるものだろう。ともすれば、メディアに登場する流行の先端をいく料理やお菓子というものは、あたかもファッションのように、新しい意匠の地平をつぎつぎに開いて見せているだけのように見えるかもしれない。けれども、本物のプロフェッショナルたちによって培われた料理や製菓の世界には、時代を超えた樹木にたとえれば、深くたくましい根がきっちりとはり巡らされているにちがいない。
時代の要請に応えるように進化を続ける料理やお菓子、パン。そうしたものが生まれる時代の風を注意深く読みながら、しかし片時もその基礎をおろそかにはしないという、我々の信念は変わらない。
学ぶ意欲のある者にかぎって、いますぐにでも、目の前を駆けめぐる流行の料理やお菓子、パンの高度な技術の世界に精通したいと思うものかもしれない。しかし、世界中から最先端の衣装をまとった情報が洪水となって押し寄せてくる、この時代にこそ、技術の根幹にある、揺るぎのない「基礎」を、いまいちど、じっくりと、ひとりでも多くの人に学んでもらいたい。

辻 芳樹

辻調理師専門学校
校長 辻 芳樹

フランス料理・イタリア料理、日本料理、中国料理、そして洋菓子、製パン、和菓子。いずれのジャンルであれ、このしっかりとした根が時代によって目まぐるしく変わる風にもびくともしない太い幹を支え、そして決して古びることのない、若々しい創意にみちた枝葉を繁らしてくれるにちがいない。
職業人としてすでにデビューしている人であれ、これからこの世界をめざす人、あるいは、プロフェッショナルな技術の世界のレベルを知り、自らの人生を豊かにしようと思うすべての人々に、この講座は扉を開いている。各講座のカリキュラムでは、「リアルな学校」の授業のように、ナビゲーター役のDVDとテキストノートが、段階的に理解を進め、実践する力を身につけることができるように構成されている。これらの教材、そして課題レポート、スクーリングをとおして、今後の自らの技術のよりどころになるような、「基本技法」の精髄をじっくり、ゆっくりと、学んでほしい。
「教育」というものは、校舎や教室があり、先生がいればそれだけで成立するというものではない。何かを学ぼうとする者のひたむきな意欲と、それに応えようとする先生達の真摯な情熱のなかに生まれる関係のなかにこそ、きっと「教育」は立ち現れてくるはずだ。この通信教育による技術講座もまた、「本物を教えたい」と1960年の開校以来、実践してきた本校の教育理念に貫かれたものであることを自負している。
「リアルな学校」にも負けない技術教育のありかたを、この辻調理師専門学校 別科 通信教育の場でも、追及していきたい。

辻 芳樹

辻調理師専門学校
校長 辻 芳樹

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