東京学芸大学のサポートでSTEAM教育についてのFD研修を実施
去る2022年2月28日(月)、「第1回 辻調STEAM教育FD」が、エコール 辻 東京を会場として開催されました。
「FD(Faculty Development)」とは、教員の教育能力を高めるための組織的な取り組みを指します。また、「STEAM」は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Arts)、数学(Mathematics)のそれぞれの頭文字からなる言葉で、「STEAM教育」とは、この5つの学問分野を横断して、ワクワクしながら知る(探究)とつくる(創造)を循環する学びを促進する方法です。
講師には、STEAM教育の研究および実践の第一線で活動されている東京学芸大学の大谷忠先生と同大学教育インキュベーションセンターの金子嘉宏先生、さらに、NPO法人東京学芸大学こども未来研究所の専門研究員などの方々をファシリテーターとしてお招きし、辻調グループの教職員52名が、第一部で「STEAM教育とは何か」を知るセミナーを受講し、第二部で、第一部の内容を受けて、ワークショップを行いました。
第一部のセミナーは、①辻調グループの建学の精神やグループビジョンも視野に入れながら、今、国が進めようとしているSTEAM教育の目的や意義(「何故STEAM教育が必要か」)について。②STEAM教育の発展の経緯(「どのようにして世界的に注目され、先進国を中心に導入されることになったのか」。③辻調グループにとってのSTEAM導入理由(「何故辻調グループはSTEAM教育を導入するのかを問う」)という内容でした。
第二部のワークショップは、辻調グループの教職員を、所属する学校・学科・科目などがなるべく重ならないようにグループ分けし、学芸大学のファシリテーターの皆さんのサポートを得て、「辻調グループの目指すSTEAM教育」について、現状の教育を踏まえて議論しました。1回目のグループワークでは,セミナーを聞いて「STEAM教育についてどう思ったか」、「自分がやってきたことの中のSTEAM教育的なもの」について、参加者同士で意見交換を。2回目のグループワークでは,「STEAMの視点から考える科目間連携の可能性と問題点」についてディスカッションを行い,グループの意見をリーダー役が発表しました。その中で、すでに教育改善の一環として取り組んできた「科目間連携」という考え方は、STEAM教育の前提に近いのではないかという意見が多く見られました。
今、辻調グループでは、調理・製菓の職業教育に、STEAM教育を導入することで、「課題を自ら見つける力」、「物事をさまざまな面から捉え解決する力」、「新しい価値を創造する力」を身につけ、食をとりまく様々な社会課題を解決できる人材を育成したいと考えています。
「おいしさ」は必須要素ですが、「安全性」「健康的」「社会貢献」といった要素もこれからの料理や菓子には欠かせない価値になります。そして、健康で恵まれた環境にある人ばかりでなく、食事の制限のある方や、被災地の方への食事提供の場面であっても、変わりなく、それまで学んできた「知識」と「技能」を「科目横断的」に総動員し、「食」で課題解決することができる、そんな食業人として学生たちが巣立ってほしいと私たちは考えています。
3月31日(木)には、東京学芸大学と辻調理師専門学校が連携協定を締結しました。さらに、そのひとつとして「高等教育におけるSTEAM教育についての研究での連携」が締結されました。これに伴い、大谷忠教授研究室、NPO法人東京学芸大学こども未来研究所、辻調理師専門学校は、共同研究契約を締結し、辻調グループにSTEAM教育を導入すると共に、調理師専門学校における新しいカリキュラム、そしてそのカリキュラムを実践するための教員研修も合わせて共同開発する予定です。
第2回FD研修は6月を予定しています。
以下は第1回FD研修後のアンケートの集計結果です。STEAM教育への積極的な姿勢が感じられる結果であり、コメントにもSTEAM教育への前向きなコメントが多数寄せられていました。
第1回 辻調STEAM教育FDアンケート結果
辻調理師専門学校 迫井千晶