STEAM教育チャレンジ(5)~国立祭でのオリジナル料理提供に向けてラストスパート!~
前回は、2023年1月24日(火)、辻調理技術マネジメントカレッジ2年生が、STEAM教育の手法を取り入れ、今年度の国立祭で提供する西洋料理のオリジナルコース作りについてレポートしましたが、今回は、その前日、1月23日(月)に活動していた日本料理のオリジナルコースを提供するグループのレポートです。
この日の実習までの間に学生たちは、各自で「自分のありたい姿」、さらに、各グループで「自分たちのありたい姿」を考えることから始めて、そんな「姿」を実現できるように、話し合いをしたり、試作をしたりしながら、国立祭テーマである『食材から再認識する日本の魅力』と、クラスコンセプト『無限大∞島国NIPPONの可能性』に合う献立作りのための試行錯誤をしてきました。このための授業はすでに5回ありました。
そして、この日から3回、オリジナルコース作りは仕上げの段階に入ります。どうすれば料理を通じて、その魅力をお客様に届けることができるか、自分たちの思いが伝わるか、本番当日にお客様にコース料理を提供することを想定して、1回目の実習に臨みました。
↓↓「自分たちのありたい姿」と今回のテーマやコンセプトを表現した献立を、学生たちが筆書きして、セッティングしたテーブルを彩ります。
今回は、【国立大学法人東京学芸大学】の金子先生と【NPO法人 東京学芸大こども未来研究所】の田中先生のお二人に授業の参観、試作料理の試食、そして、STEAM教育の観点からアドバイスをいただきました。また、私は主に料理提供時の器の選択や盛り付けなどのクオリティに関して学生たちにフィードバックしました。
1品目は、会席料理における前菜である「先八寸」です。細かい修正は必要ですが、初回にしては、盛付も風味も上出来というべきクオリティでした。
↓↓先八寸のコンセプトは『季節のうつろい』。うまく表現できているでしょうか?
2品目は「椀物」です。とろみ付けにうるち米を使ったため、若干すり流しのとろみが強く感じられましたが、ほどよい塩味と優しい蕪の香りと甘みが口一杯に広がり、これもなかなか素晴らしい出来でした!
↓↓椀物のテーマは『日本のお米』。「うるち米のすり流し」の中から香ばしく焼いた天然鯛が顔を出しています!
3品目は揚げ物です。揚げ物は、この学科の学生たちが2年間、和洋中など様々な料理を通じて幅広く学んだもので、その成果が問われる一皿でもあります。さて、今日の結果は...揚げる温度が低かったり、真鱈とタラの芽の天ぷらが同時に揚がらなかったり、改善箇所が明確になりました。基本的には楽しんで味わえる料理でしたので、これからのブラッシュアップが更に楽しみになりました!
↓↓『多様な文化』を表現した揚げ物は、真鱈のクロケッタ風変わり揚げ
最後は食事です。そして、ご飯は釜炊きです。サービス担当が釜の蓋を開けた瞬間、湯気とも煙とも見えるものが釜からブワァと立ち上り、スモーキーな香りが実習室に広がります。冬野菜燻製ご飯、これは私も初めて口にする料理でした。少々、計量ミスがあり味加減は改善が必要でしたが、かなりポテンシャルの高いご飯ものでした。そして、最初の演出はお客様が確実に喜んでくれるはずです。本番が楽しみです。
↓↓『自然の豊かさ』を表現した、冬野菜燻製ご飯はお客様の面前でサーブされます
試食後、【国立大学法人東京学芸大学】の金子先生と【NPO法人 東京学芸大こども未来研究所】の田中先生からは、「『献立名』や『サービス時の料理紹介』を工夫して,『自分たちのありたい姿』や『無限大∞島国NIPPONの可能性』というコンセプトをどのように表現して、お客様にどんな体験をしてもらいたいかをさらに考えてみてほしい」というアドバイスを頂きました。残された回では、料理の味、盛り付け、使用する器などは元より、献立の書き方や料理の説明など、「自分たちの思い」を言葉でも表すことができるよう、更に磨きあげてもらいたいと思います。次回は【NPO法人 東京学芸大こども未来研究所】の原口先生にお越しいただく予定です。学生たちのメッセージが食べ手のお客様に伝わるか、等の観点からフィードバックをしていただく予定です。
STEAM教育を取り入れて、今まで以上に学生たちの思いがこもったオリジナルコース料理ができつつあります。あと2回のレストランシミュレーション実習を通じて、国立祭の本番までに更にその完成度を高めることができるようにサポートしていきたいと思います。
辻調グループ エコール 辻 東京 中野真道