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料理のチカラプロジェクト

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辻調オンラインセミナー②「サイドビジネスとして始めるキッチンカー」

イベント

2020.06.15

辻調理師専門学校では、新型コロナウィルスの流行に影響を受ける飲食業界に向けて、新たな取り組みとして注目されているテイクアウトやデリバリーなど、飲食店における経営多角化のアイデアや手法について、全3回にわたってオンラインセミナーを開催しました。

各回30~40名が聴講し、各分野で活躍する方や有識者の解説の後に、参加者との質疑応答も活発に行われました。

今回は第二回目に行われた、株式会社Mellow 増田 寛人氏による「サイドビジネスとして始めるキッチンカー」の内容を、Q&Aを中心に掲載します。



平時でも廃業率50%といわれる飲食業界がコロナウィルスの影響でさらに困窮する中、フードトラック(キッチンカー)は初期投資の開業コストが固定店舗の約三分の一程度、ひとりでも営業できて人件費も抑えられるなど、ランニングコストに占める固定費の割合も低いことから、注目されています。

第2回目のオンラインセミナーでは、ビルなどの空きスペースの出店場所とフードトラック事業者のマッチングサービスを提供し、開業支援やフードトラックのリース事業、サポートなどを行う、株式会社メロウの増田氏をスピーカーに迎えました。

今回のコロナウィルスの感染拡大で、土日のイベントがなくなるなどの影響を受けた一方で、タワーマンションの下で営業するなど、営業場所を確保しながら事業を継続中です。



Q.
平日ランチの平均客単価はいくらくらいでしょうか?

A.
大阪のランチ単価は700~750円(最高で900円)、東京は750~800円くらいです。あまり価格を下げることなく、週一の楽しみにしてもらうなど、安いお弁当との差別化をはかっています。レストランとコンビニの間くらいの価格帯が目安ですが、大学ではもう少し下がるなど、場所にもよります。

ちなみに、ランチタイム90分程度での提供量は、1分で1食を提供するとしたら90食、2人で営業するなら、100~200食も可能でしょうか。売り上げは平均で3万5千円から4万5千円です。場所や事業者などの条件によっては、15万円売る人気店もあります。

需要の集中するランチタイムに集中的に稼げるオフィス街のほか、商業施設や住宅街での一日出店も開拓しています。

Q.
実店舗で既に営業している飲食業者とフードトラック専業の業者、割合はどのくらいでしょうか?

A.
現在、東京では現時点で2000~3000台、関西では想定で200~300台が営業しています。現時点でMellowには、関西では70名弱が登録していて、20~25台がクレープやカフェ。そのほかはイベントやランチをメインとしています。

フードトラック専業が8割、飲食業者が2割で、飲食業者のほとんどは最近はじめた方です。料理人によるフードトラックは少なく、飲食店が参入するチャンスと考えられます。現在、コロナウィルス感染症の影響で、以前のように売り上げが戻らないと予想し、継続的にできるビジネスとしてフードトラックを開業した店舗もあります。

また、飲食店以外にも、魚屋・花屋トラック、マッサージ・ネイルトラック、保険対面販売トラックなどのサービス業、小売業といったさまざまな移動店舗の可能性が考えられます。

Q.
毎日の営業も可能でしょうか?

A.
出店場所を確保すれば、毎日の営業が可能です。ただし、仕込み等も考慮して、毎日営業するかどうかを判断する必要があります。



Q.
大阪でフードトラックの営業許可書が出ないエリアはありますか?

A.
営業許可が出ないエリアはありません。

営業許可書は各自治体の保健所が発行しています。自治体ごとに取得の要件が異なる場合があるため、まずは管轄の保健所に「自動車による食品営業」に関して、どういった要件があるか確認するのがいいでしょう。例えば大阪の場合、中核市以外は大阪府の営業許可でOKですが、中核市はそれぞれの市の許可が必要です。

Q.
トラック内のカスタムデザイン(特に調理場設計について)は可能ですか?

A.
カスタムデザインは内装・外装ともに可能です。キッチンカーを作る車両制作会社と相談するといいでしょう。車検についても、キッチンカーについての詳しいところでないとできません。

また、キッチンカーの価格は新車・中古車・サイズなどによってさまざまで、インターネットオークションなどに出品されていることもあります。出店したい場所のスペースを考慮して、それに見合った大きさのキッチンカーを用意する必要があります。

Q.
首都圏や関西圏ではなく、地方でのキッチンカーモデルについて教えてください。

A.
キッチンカーは飲食店舗が移動化しているものなので、地方でも飲食店舗と同様に、キッチンカーももちろん成立します。「継続的に営業できる場所」が必要になるため、営業場所を考慮したモデルを構築していく必要があります。

また、地方のアンテナショップを都市で展開するなどの例もあります。


Q.
営業上やってはいけないような決まりには、どんなことがありますか?

A.
営業許可の種類等によるため、一概に言えません。提供できるものは保健所の判断です。

運営の立場から言えば、周辺住民やビルオーナーに迷惑をかける行為はNGです。例えば、煙が多すぎると近隣住民からの苦情につながる可能性があります。

ちなみに、アルコール販売は可能で、缶や瓶のビールをそのままは売れませんが、コップに出して売ることはできます。

Q.
キッチンカーの見た目は売上に影響ありますか?

A.
出店場所によっては、デザイン審査もあります。街の雰囲気に合わせたものでなければ、出店できないというところがあります。派手すぎるものはダメなどといったことです。

また、女性の購買者も多く、見た目は大切だと考えています。

Q.
場所の賃料は発生しますか?いくら程でしょうか?

A.
Mellowの場合、出店料だけがかかり、賃料という形では発生しません。

Mellowの提供するサービスを利用する利点のひとつに、飲食業に集中できることがあります。営業場所に関して、事故のあった場合の保険や、ビルや土地のオーナーと運用マニュアルなど含めて話ができています。
自分で営業場所を借りる場合には、そのあたりを調整する業務も発生します。

※フードトラックは路上では営業できない。路上駐車になってしまう。営業場所のビルや土地のオーナーの許可が必要。




■第3回■ 6月15日(月) 15:00~16:00
「生産者と一緒に乗り切ろう!ふるさと納税で新規のお客様開拓」
辻調理師専門学校 企画部 尾藤環/ゲストスピーカー 長島未来企画合同会社 太田良冠氏