SPACE FOODSPHEREのイベントに辻調グループの先生が宇宙シェフとして登場
2020年8月26日、地球と宇宙の食の課題解決を目指す「SPACE FOODSPHERE(スペース・フードスフィア)」のメンバーが未来構想を語るオンラインカンファレンスが開催されました。参画メンバーとして、辻調グループからは、エコール 辻 東京の西洋料理教員、秋元真一郎と日本料理教員、野中覚が登壇し、宇宙料理の展示をするとともに、料理考案の工夫や宇宙シェフに求められることなどを語りました。
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◆辻調グループのプレゼンパート
このSPACE FOODSPHEREは、JAXAはもとより、植物工場、培養肉、水再生システム、容器包装、自動調味プリンターなどの開発者、フードテックのベンチャー企業、災害時の栄養や閉鎖空間などの研究者、大学、さらには、料理人など、普段はまったく異なる分野で活躍するさまざまなメンバーが「地球と宇宙の食に関する課題解決を目指す」というテーマの元に一堂に会した、いわばドリームチームです。
このカンファレンスで、辻調グループは、宇宙でも生産可能とされる「レタス」(PLANTX社の完全閉鎖空間の植物工場で生産されたレタス)やユーグレナを使用し、西洋料理と日本料理を展示しました。レタスのアレンジレシピを40種類以上考案、試作し、当日は計9品を紹介。月の砂レゴリスから作られた艶のある黒い器(東洋製罐社製、現段階ではレプリカ)も料理を引き立ててくれました。
◆メディアに向けて料理の説明
宇宙という閉鎖空間では、地球のように欲しいものをすぐに手に入れることはできません。宇宙空間で生産や備蓄できる食材も極めて限られるため、地球上とは異なる食の価値観が求められます。しかし、こうした状況は被災地の食環境に酷似しており、日常においても持続可能性ということを考えたときに求められる食の価値観の変容にきわめて近いものがあります。そして、限られた食材であっても、いかに食事を、そして食卓を豊かにすることができるか、料理人にとって、それは単に「レシピを完成させる」のみならず、「食を通して心を豊かにする」、そんな食の価値観を改めて考えさせられる機会であったと思います。また、機械化が進む料理業界においても、「人と人とをつなぐ」、「コミュニケーションを生み出す」、料理人の役割、存在意義が見えてくるような機会となりました。
SPACE FOODSPHEREの前身であるSPACE FOOD Xという任意団体のときから、辻調グループはこの活動に参画させて頂き、宇宙の食に関する課題、そして、災害大国日本の災害時の食、さらにはSDGsで求められているような地球上の食の課題解決にもつながる活動に、どう貢献できるかを模索してきました。コロナ渦の影響もあり、カンファレンスも日程の延期やオンラインへの変更などありましたが、やっと食の未来に向けて自らの一歩を踏み出すことができました。
これからも、美味しく、楽しく、ワクワクがとまらない食の未来に向けて、貢献していきます。そして、今はまだ存在しない宇宙料理人(宇宙シェフ)の誕生に向けて活動を続けていきたいと思います。
辻静雄料理教育研究所 迫井千晶
月面ローバーの想定空間を体験