多様な方々をおもてなしするために④/薬剤耐性への対処
G20新潟農業大臣宣言に「薬剤耐性(AMR)」への対処について記載されています。聞きなれない言葉ですが、家畜等への抗菌剤の使い過ぎによって「抗菌剤の効かない細菌」が増加することへの対処を世界で歩調を合わせて取り組むことがG20で議論されています。
現在、ヨーロッパを中心に取り組みが進んでいて、日本は規制の違いがあります。飼料添加物として使用されている「モネンシン」もその1つ。前回のG20でも議題に挙がっていましたので、「薬剤耐性」にも配慮いたしました。
もともと、成澤由浩氏(レストラン「NARISAWA」オーナーシェフ)自身が飼料にも気を配られていた生産者を選ばれていました。私たちも生産者へ事前訪問をしました。但馬牛は、役牛として農耕文化のなかで評価されてきた歴史ある牛です。健康的に育てられた牛は、その赤身も素晴らしい。その美味しさを世界の首脳たちに味わって頂きたいと、成澤氏はランプ、イチボを選択。霜降りのサシで有名な神戸ビーフのブランド名を敢えて使用せず、日本の農耕の歴史を想起させる但馬牛の名称をメニュー名に添えました。
今回の生産者は堆肥づくりにも熱心で、牛の飼料となる藁を提供してくれる農家向けに良質の堆肥をつくられています。現代風の言葉にすると「循環型農業」でしょうか。「循環型農業」は役牛として活躍をしていた頃の但馬牛が、当たり前のように担ってきた歴史でもあります。
すなわち、「薬剤耐性(AMR)」 の議論は、牛の肥育の話に留まらず、土壌の話にもつながる話でもあります。
▲牛の飼料となる藁
▲発酵処理中の堆肥