TSPAレポ#2:授賞式2 《第5回辻静雄食文化賞贈賞式》<東京>
6月3日明治記念館で行われた辻静雄食文化賞贈賞式に、
受賞された方のお話を聞きに行きました。
第5回目にあたる今回は、書籍と映画が選ばれました。
書籍「食と建築土木」の著者後藤治さん、二村悟さん、写真家の小野吉彦さんに
お話をうかがえました。
本の副題が「たべものをつくるしかけ」であることからも分かりますが、
建築土木が本の主役ではなく、地方に残る日本の伝統食が主役だと、御三方がお話してくれました。
御三方は各地に残る伝統食を作る時期に現地で取材し、
今度はまた改めて、出来上がった食べ物を食べに現地に行ったそうです。
「この風景が、この伝統食の味を作るんだ」とおっしゃっていたが、
まさにそういう写真が、本には掲載されていました。
日本料理の講習で私たちもたいへんお世話になっている
ウドをつくる「ウド小屋」も取り上げられています。
「ウド小屋」栽培のウドは味が良いそうですが、
ハウス栽培との味の違いなど、ほとんど認知されていないそうです。
たべものをつくる建築土木は、自然の力を利用したしかけではありますが、
言い換えれば、人間の力ではままならない自然、風土の中で
いかに伝統食を作り維持していくかのしかけでもあります。
日本料理が世界遺産に登録されたことは素晴らしいことですが、
一方で、「絶滅危惧種」の範疇に入ったという危機感を持たねばならないと言う方もおられます。
自分が普段、ぱくぱくと一瞬で食べてしまっている美味しいものたちが、
どういう土地で、ままならない自然に対してどういう工夫をして
美味しく作り上げているかを知ることは、
これからも美味しいものを食べ続けるためには必要なことだと思いました。
御三方は取材を続行中とのことでした。
今後の続編を楽しみにしています。というか、取材について行きたいです。
エコール 辻 東京 辻日本料理マスターカレッジ 山口真理