TSPAレポ#4:料理マスターズ~食の加工品と和食の将来~<大阪>
ブログメンバーに一斉配信された「プレスアシスタントやってみませんか?」、
先週企画部から突然飛び込んできたメール。
この週末13日の中間試験の勉強をやろうかなあ?と考えてきたおばちゃんは、
勉強時間の再調整をして、この魅力あるお誘いに飛びつきました。
6月8日、学生センター5階で料理マスターズサポーター倶楽部主催の
「ブランド認定コンテスト&料理マスターズシンポジウム関西大会」が開催されました。
この料理マスターズとは農林水産省が2010年に制定した料理人顕彰制度です。
日本の第一次産業の活性化に活躍している料理人を国が表彰することで、
料理と食の生産者をつなげるシステムを強化して地方の活性化を目指す国の取り組みです。
(写真はこれまで料理マスターに認定された方々で、辻調グループの卒業生が多くおられます。
8日のイベントは、料理マスターズが「新たなブランド食品」を認定審査するもので、
先に行われた一次審査を通過した8種の加工食品から最終2品が認定されました。
認定をうけた加工食品の一つは瞬間高圧高温焼成処理を施した、
コメとレモンを食塩に混合したもので、そのまま使えば料理の飾り塩に、
水を加えれば高温処理でα化したコメ澱粉が吸水することで粘度を持つ調味料になる一品。
もうひとつは、ブルーベリーを可能な限り自然な状態で栽培採取したものに、
はちみつを混ぜたて作られたジャム。
8種の出品加工食品の試食し、生産者さんにインタビューをして得た回答から、
加工食品を作り上げるきっかけに共通するのは、「もったいない」でした。
食べることができるのに傷や、形に商品価値が少ない農産品を活用したり、
農業従事者の高齢化による耕地放棄を防止を目的であったり、
地域の特産品でありながら、他の生産地と差別化を図って市場価値を上げたりと、
出品されたそれぞれが、食材や耕地を「もったいなく使って、
付加価値をもった食品とする」ことが目的で作り上げられたものです。
ただ、審査する料理人の方々の視線は、相当厳しく、味や香り、
食味についての指摘は当然のことながら、加工食品として備えてなければならない
「安全性」への要求と「JAS法」の順守の観点で認定品を審査されたことは予想外でした。
前者は、賞味期限の設定をするうえで、必要な加工処理をおこなうこと。
後者は「表示」、特に名称設定の際、JAS法で定める言葉を用いることを指摘されました。
この数年、社会的問題となった食品表示関連の事件。
食品に課せられた適正表示を看過すると、どれだけ美味しいものを作っていても、
これまで築いてきた信頼性を失い、業務を断念した、食品・料理関係者が多かったかという事例から、
出展者に警鐘を発したコメントであったようです。
コンテストに審査を待つ間、辻校長がモデレータとなって
「世界の中での和食、和食の国際的展開」をテーマのパネルディスカッションがありました。
パネリストは欧米諸国で作り手として、食べ手として、評論者として活躍された3名の方々。
昨年ユネスコから無形文化遺産として登録された「和食」が、
「今後、長い間、和食が世界中で拡大発展できるか?そのためにどのような戦略が必要か」を
テーマにディスカッションが繰り広げられました。
その中でとても納得がいったのは
「人は食べたことのある食材であれば、料理法が変わっても、食べたいと思う」という
パネラー異口同音のコメントでした。
製パンカレッジで習得するパンのほとんどは、日本国内で作られ、
家庭の食卓で見かけることが多いものです。
その多くは、ヨーロッパでパン修業をされてきた諸先輩方、
フランスやドイツから日本に来られたパン職人さん達が地道に美味しいパンを作り続けてこられたことで、
「食べたことのある食材」に変化し、カレッジの教材としてあげられたのでは?
そして、パン食に関わる方々の貢献なくしては現在のようなパン食文化が日本に根付かなかったと思います。
和食がこれから全世界に展開することはとても素敵なことと思います。
そのためには海外で和食、日本食を作り続けていく人たちを応援することが
大切じゃないかなとセミナーを受講して感じました。
もちろん、作り手として食文化を守り、展開する姿勢を持ち続ける大切さも
改めて実感した一日でした。
【エコール 辻 大阪】辻製パンマスターカレッジ(ペンネーム:おばちゃん)