TSPAレポート#41:『和食の知られざる世界』のトークショーに参加して<東京>
みなさん、こんにちは!
辻製菓技術マネジメントカレッジの川崎です!
私は先日、辻芳樹校長先生の『和食の知られざる世界』という
12月に発行された新書の解説等をするトークショーに参加してきました。
トーク会場は代官山にある蔦屋書店の一角で行われたのですが…………
もう、満員で、座れる場所がなくなるほどにたくさんの方が来ていらっしゃいました!
そして、私の隣にいらっしゃった方が…挨拶をした際にとても驚いたのですが、
なんと辻調の大阪校の先生だったのです!
お話を聞けば、お一人ではなく他の先生と一緒にこのトークショーを傍聴しにいらしていたのです。
他にも、料理の世界に疎い私にはあまり解らなかったのですが、有名なシェフたちがも何人かいらしていたようです。
この日の進行役を務めたのは、アニメーションやファッションの世界で活躍される、櫻井孝昌さん。
そして、様々な質問に答えてくださるのは、著者でもある辻芳樹校長先生です。
本日の話は、『和食』についてです。
私は製菓コースの人間で、以前まではあまり和食について興味を持っていなかったので、今回の講習についていけるのか不安な部分もあったのですが、本当に充実し、和食に深く興味を持つキッカケになったトークショーになりました。
一、世界が求める『和食』とは何か?
最初の話では、なぜ、今、和食が突然ブームのようにして人気になったのか、それについての話になりました。
まず、『突然ブームになった』、これには間違いがあります。以前から海外でもヘルシーな味付けの料理への関心が高まり、日本料理、つまり和食への関心も徐々に高まりつつありました。海外での材料、味付け、技術がヘルシーさを重視する上でもう限界にきたときに、本格的に和食への関心が高まったそうです。
そして日本人がよく勘違いする点は、日本ではあり得ない味付けや飾りをされた際に「これは和食じゃない!!」と思わず言ってしまいますが、海外が注目し感心しているのはあくまで日本の技術やサブカルチャーなので、けっして味覚や食感、食材を純日本風にするわけにはいかないということです。
二、和食を世界から見るために必要なことは?
ここでは、最初に櫻井さんから、辻芳樹校長先生に「これから海外に和食をどうやって発信すれば良いだろうか?」という質問が出ました。それに対しての回答は「どう発信するか。ではなく、あくまでもこの国(日本)のなかでどう職人を育て続けていくのかが、大切なのでは?」「あまりに世界に意識がいきすぎて、和食が変化してしまうのが怖い」と言うものでした。
そして、この題(和食を世界から見るために必要なことは?)に対する答えも同時にありました。
「海外から和食を正しく指導できる人がほしい。だが、そういった働きをしてくれる人がまだいない」。これには、辻芳樹校長先生はとても悔しそうにおっしゃっていました。啓蒙ばかりが強くて、まだまだ行動に移せない、つまり日本人の特徴でもあるのでは?と、他国とその行動力との比較をしながらおっしゃっていました。
三、IT時代が料理業界もたらしたものは?
この問いに対しての辻芳樹校長先生回答は「潮流が激しく動かされた。」
「主流が主流じゃなくなった」とおっしゃっていました。
最初はよく意味が理解できなかったのですが、その後の話で、なるほど、と思いました。
『情報の時代』によってもたらされたのは、各世界、どこに行っても同じ味が食べられるようになったこと。新しい流行りが生まれると、その料理は『情報』の一般化によって、驚くほどの早さで世界に広まります。それは一方では、マイナーなもの・知名度は低いが高く評価されるべきものへライトを当てるチャンスやそれを知る機会に恵まれたというメリットをもつものなのかもしれない。しかし、また一方では、流行りの上っ面だけを取るようなことが常習化してきている。
IT時代によって、通信端末が発達し、料理人同士の交流も昔より身近なものになった。しかしそれによって、本来はお客様が料理人を育てるという関係性に変化が生じた。料理人同士が互いを高めあい、お客様がポツリと置いていかれているのだと、辻芳樹校長先生はおっしゃいました。
そしてこのトークショーの終わりに、これからは、急ぎすぎたこの進化とは別に、お客様と料理人の、期待・驚き・喜びなど料理を通した無言の対話を再び築き上げていくべきだと締めていらっしゃいました。
以上までが、この日、お話ししていただいた中でも印象に残ったものです。
今回のお話は、最初に紹介した『和食の知られざる世界』という新書の中から話をピックアップしてさらに深く、様々な観点から話していただいたものですが、私は今回のこのトークショーを受けるにあたって、この『和食の知られざる世界』をまだ読んではいませんでした。トークショー自体はまだ読んでいない人にも解るように進行されていたので問題はなかったのですが・・・。でも、今回のこのトークショーが本当にたのしく、もっと知りたい。そう思った私はこのトークショーの帰りに蔦屋さんでそのまま本を買って帰りました(笑)。是非、製菓コースの友達にも薦めてみたいと思います。
和食とは、私にとって奥がとても深くて、なにより難しいという印象があったのですが…
それも学びかた次第だな、と思いました。良い教科書にめぐり会えれば、すっ、と入ってくるのだと解りました。
皆さんもまだ購入していなければ是非、買ってみて、そして、読んでくださーい!!
それでは!
2014.2.24. 辻製菓技術マネジメントカレッジ TSPA川崎未智