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料理のチカラプロジェクト

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TSPAレポート#10:" グレーテルのかまど"の撮影現場を見学!!<東京>

TSPA

2013.09.11

NHK-Eテレで放送中の “グレーテルのかまど”は仕事や子育てに追われながらも、「ひと息つける自分の時間を大切にしたい」そんなオトナの女性のために、「美しく」「優しく」「柔らかく」スイーツに迫る番組です。

 

ナビゲーターの瀬戸康史さんが演じるのは十五代ヘンゼル。仕事で忙しい姉、グレーテルのため、キムラ緑子さん演じるかまどの声によるサポートを受けながら、ステキなスイーツを作ります。               

 

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私たちが見学したのは、“リサとガスパールのガトーショコラ”の収録。

“リサとガスパール”はフランス生まれの絵本です。パリに住む、ウサギでもイヌでもない未知の生物、好奇心旺盛な女の子リサと優しい男の子ガスパールが人間達と共に暮らす日常を描いています。

今回のスイーツ“ガトーショコラ”は、“リサとガスパールおたんじょうびおめでとう”の巻で2人が作ろうとするケーキをイメージしたものでした。

 

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スタジオの入り口には大きなホワイトボードがあり、今日のスケジュールが細かく書いてあります。

 

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中に入ると、先生方がスタッフの方と材料の準備やできあがったお菓子の確認をしていました。

そのあと、プロデューサーさんなど関係者ほぼ全員での打ち合わせ。私たちはスタジオに残ったスタイリストさんの装飾作りを少しお手伝いしました。

 

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今回、お菓子作りを担当するのは、エコール 辻 東京、辻製菓マスターカレッジの秋元慎治先生と、山下久美子先生、内田弘毅先生です。

 

そして、撮影スタート!!撮影はカットごとに、テストと本番を繰り返して進んでいきます。テスト、本番の後には、スタジオやモニタールームで、カメラの動き、物の配置、光の当たり具合、台詞など細かい確認作業をします。

調理の場面は、直前に山下先生から瀬戸さんへの手順説明やアドバイスが入ります。作り始めからオーブンに入れるまで、ほとんどカット無しで撮影する長いシーンが続くので、打ち合わせは特に念入りに行われます。

 

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驚いたのは、調理の練習が一切ないこと。

瀬戸さんは本番一回しかお菓子を作れないのです!!しかし、テーブルや手も汚さずにキレイに作業を進めていました。

ここで、欠かせないのが“かまど”の声。キムラ緑子さんが手順や混ぜ終わりのタイミングなど、雑談を交えながら伝え、

サポートします。

 

実は、このキムラ緑子さんに指示を出しているのが、モニタールームで調理の様子を見る秋元先生。この場面は、秋元先生からキムラさん、キムラさんから瀬戸さんという連携プレーによって成り立つのです。これまでいろいろなレシピを提供してきた経験者の百野先生によると、これがなかなか難しいそうです。お菓子にとっては「このタイミングで材料を入れて欲しい!!」と思っても、瀬戸さんとキムラさんの会話が盛り上がっている時などは、急に流れを止めたりすることのないように気遣いも必要なのです。

 

テーマは、事前の会議でスタッフの方のいくつかの案から決まります。今回、“リサとガスパールのガトーショコラ”のレシピを考えたのは秋元先生。構想には約2週間かかったそうですが、時には1ヶ月かかることも……。

 

さて、この“ガトーショコラ”ですが、原作のストーリーでは失敗に終わっているので、出来上がりの見本がありません。

このようなときは、先生方が一から作るしかないので、秋元先生は「想像力と様々な研究が必要。」と話します。

実際に、喜多村先生の担当した“新島八重の洋菓子”(4/19放送)なども、参考文献が明治時代のものだったので見本もなく、それを現代風にアレンジするのに苦労したそうです。しかし、「ストーリーに合わせた菓子を作ることで、『美味しい』だけではなく、新しい視点で菓子を考えられるようになったのは良かった。」と、一緒にモニターをみながら、百野先生が説明してくれました。

     

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“グレーテルのかまど”の撮影現場を見学し、「いい番組を作りたい」というスタッフさんや出演者の方の思い、「いいお菓子を作りたい」という先生方の思いを実感することができました。そして、その思いを合わせようと、それぞれが重要な役割を果たすことで、信頼関係によるアットホームな雰囲気が生まれ、この番組の魅力に繋がっているということを知りました。多くの人々の尽力によって、“グレーテルのかまど”というひとつの番組が完成しているのです。

 

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菓子職人は美味しいお菓子を“つくる”ことが仕事です。

でも、今回の先生方の現場での仕事の様子を見て、手を動かして“作る”ことはもちろん、オリジナルのレシピを“創る”ということも含まれること、そして、ひとりの人に、ひとつの菓子を美味しいと言ってもらえるだけがゴールではなく、より多くの人、実際に会うことのない人にも、必要とされるような新しい菓子をつくり出していくことも、菓子職人の仕事に求められる一面であることに改めて気づかされました。



2013.9.9
エコール 辻 東京 TSPA