日本料理体験記~vol.1 椀 清汁仕立 海老しんじょ 若布 椎茸 小松菜 木の芽
皆さん、こんにちは。
私はヘルシーなスローフードとして世界的にも注目されている"和食"の世界を知るために、辻調理師専門学校の通信教育講座の日本料理を受講しています。
日本料理の奥深さってなんでしょう、家庭料理と日本料理の違いってなんでしょう、その答えが"プロ標準"のこの通信教育で見つけられるような気がしています。
これから1年間、通信教育講座の受講生代表(?)として毎月、レポートをお届けいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
Vol.1 椀 清汁仕立 海老しんじょ 若布 椎茸 小松菜 木の芽
第1課、2課で学ぶのはだし汁。
一番だし、二番だし、煮干のだし汁の取り方を学び、これらのだし汁を使った椀物を作ります。
プロの料理人は鍋にだし汁を入れることを「鍋に地を張る」と言うそうです。
料理を建築物に例えたとき、だし汁はその土台である「地」にあたるからです。
今回は海老しんじょの清汁仕立に挑戦します。
吸地(すいじ)を作るため、先生のお手本に習い一番だしを引きました。
吸地というのはスープのことで、飲み終わったときにちょうどいい塩加減になるよう控えめに味をつけるのがポイントです。
プロの料理人は、会席料理のどの段階で椀物が出るかによって、味噌、醤油、塩の味に変化をつけるんだとか。
さて一番だしですが、昆布を入れて10分で沸騰するよう火加減を調整することが難しかったですね。
分量のかつおぶしを入れると香りが舞い上がるように広がります。
今回は花がつおを使用しましたが、家庭用のかつおぶし削り器もいろいろあるようです。
私は子供の頃、カンナを小さな箱の上にセットしたような古いタイプの削り器を使っていました。
しかし血合いの部分を取りのぞくことで風味がよくなるということは、母も祖母も知りませんでした。
さぁ、ネル地で漉して完成です。
吸地八方(すいじはっぽう)に椀づまの小松菜と椎茸、若布を浸します。
吸地八方とは材料に味をつけるためのだし汁、椀づまとは椀物の副材料で主に季節の野菜を使います。
今回の椀物の主役である海老しんじょは椀種(わんだね)といいます。
これまで、味噌汁やおすましなど椀物の具は塩茹でしたまま使っていました。
吸地八方という言葉を聞くのもこれが初めてです。
プロの一手間ですね。
今回は海老しんじょの生地に煮切り酒を使いましたが、これまでアルコールを飛ばしたり煮詰めて使うのはワインばかりでしたので新鮮でした。
最後に、火を通した海老しんじょにも、盛り付ける前に熱い吸地を少しかけ、水っぽさを取りのぞきます。
温めたお椀に材料を盛り、吸地をかけて完成です。
作業中は夢中で気づかなかったのですが、手を止めてみるとキッチンはだしの香りで包まれていました。
では、いよいよ試食です。まず一口飲んでみて温度と塩加減を確認します。
先生のアドバイスどおり、最後まで飲める味の濃さに仕上がっているようです。
椀種の海老しんじょは口あたりが柔らかく、海老の風味が広がります。
吸地八方に浸した小松菜、若布、椎茸は味が染み彩りもよく仕上がりました。
温かいものは温かいうちに、ということで家族にも試食をしてもらいました。
感想は「お店のような味がする」とのこと。
ひとつひとつ手間をかけていくことで、プロの味に近づくということを実感することができました。
テキストの材料は4人分なのですが、ちゃんとできるか心配で、私は8人分も作ってしまいました。