辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 通信教育部 ブログ

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製菓受講日記 ⑭ 糖菓

今回のテーマは・・・ 

第20課 糖菓   







同じ砂糖を煮詰めるのでも、持って行く温度によって違う状態に変化する。今回はそういう変化を利用したお菓子の勉強だ。今までに体験したことのないお菓子の領域、つまりマシュマロやフルーツゼリー、そしてヌガー菓子にナッツのコーティング菓子だ。コンフィズリーと呼ばれるこの手のお菓子は、今まで私にとって「買うもの」であり、自分で作るなんて考えたこともなかった。だから当然、どんなふうに作るかということも、あまり考えたことがなかった。醤油や味噌を手作りする、そのぐらい遠い話だと思っていた(ただし味噌はイタリアにおいしいものが売っていないので、最近友人たちと手作りしたりしているのだが)。ところがついに今回は、あんなにきれいで宝石みたいなお菓子たちを自分で作れるようになるという。本当に私ったら、すごい領域に突入しているようで、うれしいなあ。


さて、課題の4つのお菓子、「パート・ド・フリュイ」(果物のピューレをペクチンで固めたゼリー)、「ヌガー・ド・モンテリマール」(南フランスのモンテリマールという街で生まれたヌガー)、「カラメル・ムー」(ソフトキャラメル)「パート・ド・ギモーヴ」(マシュマロ)の作り方をDVDで見ると、第一課からみっちり勉強してきた私(!!?)にとって、作り方はそれほど難しそうでもない代わり、材料の入手が大変そうなものが多い。特に私の暮らすイタリアではプロと素人の境界線がはっきりわかれているので、素人のお菓子好きがプロ仕様の材料や道具を手に入れるというのがとても難しいのだ。もちろん一般の人が行ける製菓材料専門店なんてない。しかもイタリアのお菓子はきわめて素朴、つまりだいたいのお菓子は卵と粉と砂糖、そこにチョコレートとフルーツ、ナッツがあればOKみたいなものばかりだから、様々な材料とテクニックを駆使するフランス菓子に挑戦する私の苦労は並大抵ではない。


と文句ばかり言っていてもしかたがないので、まずは大好きなパート・ド・フリュイに挑戦。おや、クエン酸? ペクチン? 水あめ?? いきなり挫折かなあ、とため息をつきながら、別の用で薬局へ行ったので、ダメもとでクエン酸はあるかどうか聞いてみると、あるという。薬を調合するときに使うのだそうだ。やった~!

一番難関そうに見えたクエン酸がみつかったので、気が楽になった。シェフをしている夫が水あめも入手してくれた。あとはペクチンだけ。たしかペクチンは大型スーパーの製菓材料コーナーにあったはず。イタリアでは結構ジャムを手作りする人、多いんだものね、と買いに行くと「フルッタペク」という商品名の、なにやらペクチンらしいものを発見。うーむ。これは明らかに家庭用簡易ジャム作り用のペクチンのようだけど、教材のレシピにあるHMペクチンとどれぐらい違うものだろう。原材料に砂糖やらフルーツ香料などが加えてあるから、ピュアなペクチンでないのはたしか。でもこれしかないんだから、とりあえずこれで作ってみるとする。


冷凍のフルーツピューレは売っていなかったため、赤ちゃんの離乳食として、そして最近ではヘルシー志向の人たちがおやつに食べると言うものを購入。添加物も砂糖も一切入っていないものだから、これでよしとしよう。りんごだけ、フランボワーズ(ラズベリー)だけ、というのがなかったので、ベリー&リンゴのミックスというのを購入。


ところで今回思いついたのだが、教材のDVDをかけながら作ると、ライブ感が出てとてもいい。先生の声を聞きながら作業することで安心感が増し、落ち着いて作業できることに気付いたのだ。これ、他の受講生の方々にもお勧めですよ。え? もうやっているって? すいません、私は今まで、まずDVDを見てお勉強をした後、一人黙々と作業をする、というスタイルだった。20課になるまで気がつかないなんて...。


砂糖と水あめ、ペクチンを煮詰めていると、なかなか温度が上がっていかない。ずいぶん煮詰まって液体が濃くなってきてはいるのに109度になかなか達しない。うーん、こんなものかなあ、という一抹の不安は、109度に達した後、クエン酸を加えて型に流し、そして固めていく段階で、やっぱり!という確信に変わった。鉄芯が入手できなかったので、日本から持ってきた流し缶にゼリー液を流し込んだのだが、ずいぶん濃度があってドロドロで、表面がきれいな平らにはならない。 おや、先生のものはスーッと流れていたのに。おかしいなあ?? いや、きっと大丈夫、固まったらでこぼこの方は下にしちゃえばわかんないよ(こらこら~)と自らを慰め、ごまかし、固まるのを待つ。が、いくら待っても固まらない。ベトベトしたままだ。そうだよね、簡単そうとは言え、コンフィズリーという専門職がいるぐらいだもの、一回目から完璧に仕上がるはずはないよ、と表面に砂糖をまぶし、冷蔵庫に入れてみる。


結果は、一晩たってもベトベトしたままで、先生のようにスパッと型からはずれることはなかった。ベトベトと包丁にくっつくのをごまかしながらなんとか切り分け、砂糖をまぶした。やっぱりペクチンの固める力が足りなかったのかなあ。でも食べてみると、夢のようにおいしい。冷やしてあるので、なおさらおいしい。よーし、次回はレシピにあるような、HMペクチンを日本から持ってこよう。そして美しいパート・ド・フリュイを作ってみようじゃないか!


気を取り直して作ったパート・ド・ギモーブは、上々の出来。ぴたりとくる型がないので、やっぱり流し缶と、シリコンのミニボール型を使ってみた。生地の半分をフランボワーズ風味、半分に抹茶を入れてみた。どちらもとても美味しい仕上がり(ただしシリコン型には絞り袋を使って絞り入れたのだが、絞った跡が残っていまいちの外見)。マシュマロが自宅でできるの!と家族や友人にも大好評で、とても満足。終盤に向けて、ますますやる気が出てきた私であった。


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