通信教育部ブログ
マドレーヌ先生の ルレ・オ・フリュイ
新連載のお知らせ
不定期連載になりますが、洋菓子技術講座の新連載がスタートしました。
パティシエールでもあるお菓子の先生、マドレーヌ先生による、自宅でのお菓子作りのポイント満載な連載がスタートいたします。
これを読むと、自宅でのお菓子作りがよくわかる!プロ目線でのアドバイスがいっぱいです。
洋菓子 第1課 スポンジ生地(1)「ルレ・オ・フリュイ」
皆さん、こんにちは!パティシエール兼お菓子の先生でもあるマドレーヌです。
初回の今回ご紹介するのは基本生地のひとつである「パータ・ビスキュイ」を使用した製品です。
『シャルロット・オ・ポワール』は課題の製品となっているので、『ルレ・オ・フリュイ』を自宅で作ってきたいと思います。
◆材料を準備する
【 卵 】
昨今の卵不足により、スーパーで販売されている卵のサイズが不揃いなものが多くなってきました。テキストにg(グラム)が表記されている場合はきちんと計量して使用しましょう。卵1個分という表記の場合は、卵黄20g+卵白30g=計50gになるように計量することをおすすめします。
今回は卵が小さく卵白が少し足りなかったので、冷凍保存しておいた卵白を追加しました。お菓子作りをしていく中で、卵白は残りがちですがこのように小分けにして保存すると使用する際に使いやすいです。
◆パータ・ビスキュイを作る
まずは卵黄とグラニュー糖を擦り混ぜ、白っぽくなるまでブランシールしていきます。グラニュー糖が溶け、空気を含んでもったりとしてくるまで、擦り混ぜます。スーパーなどで売っているグラニュー糖を使用する場合は製菓用のものよりも少し粒子が荒いので、溶け残りが無いように確認しましょう。
次にメレンゲを泡立てます。
しっかりとボリュームを出す為、最初はグラニュー糖を入れずに卵白だけでボリュームが出るまで泡立てます。そこから3回に分けてグラニュー糖を加えていきます。
皆さんはここが一番見極めが難しい所ではないでしょうか?周りがボソボソし出すと少し泡立て過ぎです。なめらかで、しっかりとした泡になるように状態を観察しながら作業をおこないましょう。
グラニュー糖を加えるに従って、だんだんとキメが細かくしっかりとした泡へと変わっていきます。
ブランシールした卵黄を混ぜ合わせ、ふるった薄力粉を加えて混ぜ合わせます。
薄力粉が見えなくなったら状態を確認しましょう。
絞り出せるしっかりとした生地はこのようにコルヌを垂直に立てることが出来ます。
生地を絞り出していきます。
指定のサイズは30(縦)×35(横)cmですが、我が家のオーブンのプレートのサイズは35×25cmです。足りませんね...
ということで、巻いていく縦の長さは必要なので、30(縦)×20(横)cmを2枚絞ることにしました。(丁度A4コピー用紙にぴったりのサイズです)
皆さんのご自宅のオーブンのサイズによって、規定のサイズに出来ないこともあるかと思います。その際は、変更しても大丈夫な部分と、変更するとお菓子の出来上がりサイズが変わってしまう部分とありますので、ご注意くださいね。
2枚目は応用編で斜めに絞ってみました。
生地を焼いていきます。
我が家のオーブンは熱風を回して焼くコンベクションタイプのオーブンなので、生地が乾燥しやすく、焼きムラも風の当たりの違いで出来やすいです。
まず、生地をしっかりとオーブン内で浮かす為にプレートは余熱の段階で一緒に入れて熱しておきます。そうすることで、下からの熱が入りやすく、生地の浮き(縦への伸び)が良くなります。
プレートの縁が邪魔な場合はひっくり返して使用すると生地の移動などがスムーズにおこなえますよ。
家庭用のオーブンは機密性(密閉性)が悪く、扉の開閉が多くなると生地から出た水蒸気が逃げやすいので、乾燥した焼き上がりになりやすいです。できるだけ扉の開閉は少なくしましょう。
焼き色が付き始め、ムラが出来るようになったら一度反転させます。それ以外は開けません。
焼き上がり、出来るだけ早く鉄板から外し、表面が乾燥ぎみのようなら紙を被せ、布巾などで覆っておきましょう。そうすることで、生地の持っている水分が全体に行き渡り、巻いても割れにくい生地になります。
◆フルーツをカットする
オレンジの房どり(カルチェ)が少しテクニックがいりますね。まずはきちんと切れる包丁やペティナイフを用意しましょう。
ポイントは皮を剥く際も、房どりする際も皮と実の境目の少し実側をカットすること。力を抜いて前後に包丁を動かすとオレンジの粒を潰すことなくカット出来ます。
◆生クリームを泡立て、組み立てる。
生クリームは固く泡だてすぎるとヘラで延ばし辛くなるので注意しましょう。
しっかりと端までフルーツを入れ、巻きます。
クリームが少し冷えるまで冷蔵庫で冷やしましょう。
◆カットする。
包丁ウォーマーのようなお湯を溜めれるものがない場合は、水道からお湯を直接出しながら包丁を温めても良いです。その場合は、水道のすぐそばで作業しましょう。また、包丁が温まっているか触って確認するようにしましょう。
粉砂糖を振って、完成です!
今回はご近所で減農薬土植えで作られている濃厚な完熟いちごが手に入ったので、斜めに絞った生地の方はいちごだけで仕上げてみました!
いちごが美味しすぎて作らずにはいられなかったです。
その時期・土地によって手に入るフルーツは変わってくると思います。是非手に入る美味しいフルーツを使ってチャレンジしてみてください。
おまけ...
残ったフルーツ達...そのまま食べても良いのですが、ひと工夫。
房どりし終わったオレンジを絞って出てきたオレンジジュースと少しのグラニュー糖を加えて、サラッド・フリュイを作ってみました。
フランスでよく食べた懐かしいデザートのひとつです。キルシュ酒やコアントローなどアルコールを加えると少し大人なデザートに変わります。
これからの暑い時期にぴったりです。
お家で作る際のポイントや工夫を中心にお話しさせていただきました。実際に作ってみてうまくいかないことも多いと思います。うまくいかなかったことはレポートや質問表を上手に使い、解決していきましょう!
皆さん諦めずに一緒に頑張っていきましょう!