「たか田八祥から学ぶ刺身の授業!」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ7~
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2021年4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開設されました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。
今日は日本料理本科、クリエイティブ経営学科で行う科目「日本料理理論」について投稿します。
この科目では会席料理の献立が立てられるようになることを年間の学習目標としています。
献立には吸物、刺身、焼物、煮物などがありますが、それらの作り方は勿論、
季節にふさわしい食材について、料理と器の関連性なども学びます。
今日は刺身について180分集中しての授業です。
外来授業として岐阜県にある「たか田八祥」から高田祥生先生にお越しいただきました!
たか田八祥は1989年に高田祥生先生のお父様である高田晴之先生が開業されました。
現在岐阜県内で5店舗経営されています。
岐阜県にとどまらず全国的に有名な会席料理店です。
写真中央でポーズをとられているのが高田晴之先生です(笑)
今日の授業テーマは「店で提供される夏の刺身」についてです。
一品目は今から美味しくなる夏を代表する魚「鱧」を使った刺身です!
とても凶暴な魚です。鋭い牙で攻撃してきます。
しかし見た目とは違ってはとても旨味と脂がのって美味!
では高田先生おねがいします!
まずは表面のヌメリをゴシゴシしっかりと取ります。鱧の臭みは表面のヌメリが原因です。
「みなさんも時間がかかってもしっかり取り除いてください。」
鱧の特徴は「とにかく全身が小骨だらけ!」
そのため骨切りと言って身の表面から皮に到達するまでしっかり深く切り込みを入れていきます。
動画で観てね!
ご覧の通り白い皮がしっかり見えるところまで細かい切込みを入れます。
先生、切込みが不十分だとどうなりますか?
「小骨が口に刺さってグサッ!チクッ 痛っ!」(>_<)
次の工程は分厚い皮だけにバーナーで炙り火を通します。
炙ることで柔らかくなり、そして香ばしさが出て美味!
あとは素早く盛り付けて完成!
「それぞれ3つの味で食べていただきます」
向かって左から卸しポン酢、真ん中が梅肉、最後は鱧の肝をペーストにして醤油で味付けしたものです。
手前は青紫蘇ソース。
「鱧って難しそう~、骨切りできるかな?」
7月の個人実習では全員が鱧をさばいて、骨切り、鱧ちりを作りますよ。
次はタコを使った刺身です!
生きたタコを見るのが初めての学生がほとんどです。
「タコって赤色だと思っていました」という学生もいました。
*ゆでると赤になります。はい
まず下準備としてタコの表面はヌルヌルとしたヌメリがついています。米ぬかをまぶしてもみ洗いします。
そうすることでヌメリが米ぬかに付着して取り除きやすいのです。
先生、めんどくさそうですがヌメリは取らないといけないのですか?
「このヌメリには生臭みがあります。そのため時間をかけてでもしっかり取ります。」
了解です!
次はタコの足を1本ずつ切り分けます。
ところでタコの足は何本でしょう。
正解は8本でした。
みなさんはタコの皮、吸盤を剥がすところを見たことがありますか?
なかなか想像がつきませんよね。
では動画で確認してください!真っ白な足に変身しますよ。
次はどうなっていくのだろうか?
タコの足に細か~く切込みを入れていきます。
これも動画で確認してね。
これだけ切込みを入れると柔らかい食感となります。後は1口で食べられる大きさに切り分けます。
最後に約60度の湯の中で約7秒サッとゆでると御覧の通り、真っ白いタコがチリチリとして美味しそう。
吸盤もうまいよ!
タコの付け合わせは夏野菜のオクラです。
ゆでた後、包丁で叩けばネバネバします。これがオクラの特徴ですよね。
タコの刺身が完成!オクラの緑色が見た目を鮮やかにしています
学生が想像していたタコの刺身とは違ったようです。
真っ白なタコ? 無数の切込み? オクラと一緒に食べる?そんな表情で学生が見つめます(笑)
鮮度抜群なタコを使うから美味しいのです
三品目は「目板カレイの薄造り」です!
料理の勉強を始めたばかりの学生にとってカレイと言えば「煮つけ」「から揚げ」しか想像できないのかもしれません。
見るものすべてが新鮮だ!
カレイは5枚に卸します。しっかりと弾力のある肉質のため意外と卸しやすいのです。
弾力がある魚は薄く切って提供しないと食べにくい。⇒ だから薄造り!
ご覧の通り身が4枚+中骨1枚=5枚卸しとなります。
薄造りは「切る」と並行して「盛り付け」も同時に行います?
わかりにくいので動画で確認ね!
カレイの薄造りの完成です
「透き通った薄い身がキレイ! ほんと弾力ありそう~ これはポン酢で食べたい!」
とネズミ色のTシャツの彼が目で訴えています。
最後は車海老の刺身です
「車海老の湯引き生このこかけ」これも今の学生にとってネーミングを聞いただけでは想像ができません。
「どんな料理やろうか?皮むいて醤油で食べるのとちがうの?」といった感じです。
海老は頭を取り除き、熱湯でさっと約10秒!表面が赤くなればすぐに氷水に落として急冷します。
すぐに皮をむいて仕上げます。
ここで高田先生からアドバイスです
「海老はさっと火を通した場合、時間を置くと黒く変色するので提供する寸前にゆでます。」
では盛り付けします!
先生、ところで「このこ」とは何ですか?
「ナマコの精巣です。すなわち卵です」卵なのにヌルヌルして長いのですか?不思議です。
「磯の香りと適度な塩味がありとても美味!海老との相性もバツグンですよ」
そしてオレンジ色がとてもキレイ!
これで完成、海老の切り口を見て!半生さが透明でキレイ!
インスタ映えしそう!
ということで本日は高田先生による「たか田八祥で提供される夏の刺身」の授業でした。
学生にとって数々の新しい発見があったようです。
あっという間の180分でした。高田先生お疲れ様でした。
ところで先生、ほかにも外来講師の授業はあるのですか?勿論です。今後も定期的にお招きして
実際にお店で提供されている料理をテーマに応じて教えていただきますよ。
その一部を紹介しておきましょう。
興味のある方はもう少しお付き合いください。
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~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。