料理やお菓子を作るときに大切なもの?急速冷却について学びました!
料理やお菓子を作るときに、『おいしさ』と同じくらい大切なものは何でしょうか?
(・・・『おいしさ』以上に大切なものかもしれません!)
それは、『安全であること』です。
『安全であること』は、正しい衛生管理によって導かれます。
私の担当している"食品の安全と衛生"、"食品衛生学"の科目では、
調理・製造の際に求められる衛生管理について、
講義や実習を通して紹介しています。
ところで皆さんは、『急速冷却』を耳にしたことがありますか?
文字通り、時間をかけず、なるべく短時間で食品を冷やすことです。
具体的な目安として、"30分以内に中心温度20℃付近"という温度条件が推奨されています。
これは、食品を加熱した後、そのまま常温でおいておくと、
食中毒の原因になる微生物たちが増殖しやすくなるためです。
たとえ少ない量の微生物であっても、増殖に適した温度になると
瞬く間に数が増えてしまい、食中毒発生の恐れがあります。
微生物を増殖させないためにも、急速冷却はとても重要な工程です。
大きな施設では機械による急速冷却が行われますが、
冷却機のない環境では氷水を使用するなどして急速冷却を行います。
学生たちは、講義ではこの温度条件を学んでいますが、
実際、加熱後の食品を常温放置するとどんなふうに温度変化が起こっているのか?
氷水による冷却で本当に温度が下がっているのかな?
ということを講義では伝えきれていないため、実習を通して確かめてみました。
実験の材料として、まずは普段作り慣れているカスタードクリームを作ってもらいます!
(写真は、材料の卵です)
(牛乳を温めている間に、卵黄と砂糖、小麦粉をまぜています)
カスタードクリームは手順を見ずに作れるくらい、お茶の子さいさいの様子でした!
(牛乳を加えた後、再加熱をしています)
さて、出来上がったカスタードクリームはどれくらいの温度でしょうか?
写真は測定の様子です。中心温度計を使っています。
そして、常温放置と氷水を使用して急速冷却を行い、
それぞれの中心温度・表面温度を測定し、記録していきます。
出来上がったカスタードクリームはたとえ材料が同じであっても、
煮詰める度合や火加減は班によって異なります。
また、測定するタイミングも個人差があります。
季節によって室温などの異なるため、結果が必ずしも絶対であるとは言い切れませんが、
講義で紹介していた内容が、数値として現れたことで、
急速冷却の効果をより実感してもらえたかな?と思っています。
しかし、それよりも!
普段は実習室のガスコンロで製造しているカスタードクリームを
IHを使って製造しているみんなの姿に逞しさを感じ、とても感慨深かったです。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 専門講義科目グループ
泉谷 麻衣子
担当授業「食品の安全と衛生」「食品衛生学」
大阪府出身
※インフルエンザに注意!手洗い・うがい・マスクの着用をしっかりと行っていきたいです。