きのこの科学
こんにちは。
調理師本科ダブルマスタークラス1年生のSです。
ダブルマスタークラスは、 1年目に調理、2年目に製菓を学ぶコースで、
現在、私は、調理師本科で料理の勉強中です。
後期中間試験も終わり、私たち調理師本科の授業は
もう残すところ4分の1だけとなりました。
そのため、授業も段々と1年の総まとめという内容になってきました。
そんな中、今日は「食品と栄養Ⅱ」という座学の授業で、きのこについて学びました。
まずは、きのこの主成分は90%が水分のため、保存性が悪いということや
実習でもよく使用する、マッシュルームやしめじ、しいたけなど
代表的なきのこと、その種類や特徴について学び
加熱温度の違いで、香りや食感に違いが出ることを学びました。
<きのこの加熱>
高温加熱→水分が飛び、食感が良くなるが、加熱しすぎると逆に縮みが起こり食感が悪くなる。
低温加熱→うま味が増え、きのこの香りが飛びにくい。
この食品と栄養の授業を受ける2日前、西洋の調理実習で鴨胸肉のソテを作ったのですが、
付け合せでポム・フォレスティエールという、じゃがいもときのこのバター炒めを一緒に作りました。
実はそのとき、きのこの炒め方について、少し疑問がありました。
▲西洋の調理実習で作った「鴨胸肉のソテ、ポルト酒風味の赤ワインソース」
写真奥:付け合せのポム・フォレスティエール
実習で、私がきのこを炒めていたのですが、先生から
「きのこは、木杓子で混ぜながら炒めたりせず、鍋に広げて
やや強火で焼き色が付くか付かないかの状態になったら、
鍋をあおりながら、さっと炒めてね」と指示がありました。
そのときは、作業に一生懸命なので「木杓子で混ぜず、強火でさっと炒める」ことについて
なぜ強火が良いのか、なぜ混ぜ過ぎたらいけないのか、少し疑問に思う程度だったのですが
今日の授業できのこの加熱温度の違いを知り、合点がいきました!
良い食感を出すために強火にする必要があり、
必要以上に炒め過ぎて、縮んだり香りを飛ばしすぎたりしないために、
木杓子で混ぜ過ぎてはいけない。
実習と座学の授業内容が結びつく瞬間。料理の魅力と作る面白さをさらに深く感じます。
そんな感動のあと、干ししいたけの試食があったのですが
この試食でも、そうなんだ!と驚くことがありました。
A:熱湯で戻した干ししいたけ
B:冷水で戻した干ししいたけ
干ししいたけを戻すとき、熱湯か冷水を使うかなんて、今まであまり深く考えたことがなく
時間が無いとき→熱湯、時間が有るとき→冷水、くらいの
戻すのにかかる時間の違いくらいにしか考えていませんでした。
しかし、見た目にも分かるように
B:冷水で戻した干ししいたけの方がふっくらしていて、なんだか美味しそうです。
そして、食べ比べをして評価をしてみると
見た目通り、B:冷水で戻した方が、におい、うま味、食感が良く美味しかったのです。
戻す水の温度の違いだけで、ここまで風味に違いが出るのだなと、正直、驚きました。
これは、吸水率と、うま味成分グアニル酸の元になる成分の抽出される量が
水温によって異なるためだからだそうです。
水温5℃のときが、一番、吸収率が良く(熱湯よりも吸収率が良い)
うま味成分の元が多く抽出されるそうです。
でもやはり戻し時間は、5時間以上かかるそうです。
しかしやっぱり、しいたけの旨煮などは、ふっくらしてうま味のある美味しいものを作りたいので
冷水でゆっくり戻した干ししいたけを準備することから始めないと
せっかく良い干ししいたけを使ったとしても、持ち味を活かすことができないのだなと思いました。
そして、干ししいたけで何よりも大事なことは、
戻し汁にうま味成分の元が溶け出しているので、「戻し汁も一緒に使って煮る」ということです。
今年は、せっかくなので、おせち料理の一品として
しいたけの旨煮にも挑戦してみたいと思います!
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プロフィール
調理師本科ダブルマスタークラスのSです。
静岡県出身。沖縄で数年間、社会人をしていました。
クラスメイトより、少し年上ですが
みんな料理やお菓子が好きなので、共通の話題も多く
楽しい学生生活を送っています。