第9課・10課 製パンの工程(3) 分割・成形
2015.07.28 カテゴリー:受講生日記
製パン技術講座を体験中の宮本さやかです。イタリアのトリノに暮らしていますが、辻製菓専門学校にいるかのような中身の濃い授業が受けられること、教材がとてもわかりやすくて楽しく続けられることに惹かれて、数年前に日本料理の講座を履修したことから始まり、次に製菓、今回の製パンと通信にはまっています! フードジャーナリストという仕事をする私にとって、たくさんの料理人や業界のプロの方達を取材する時に、ここで得る専門的な知識はとても役に立ちます。そして在住日本人の奥様方にイタリア料理を、イタリア人に日本料理を教える仕事もしていますが、その時にもここで得た専門知識が頭の中にあることで、自信を持って仕事ができています。 |
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今回勉強するのは、まず分割。分割といえば、私の大好きな丸め作業がついてくる。ぷにゅぷにゅの生地を手の下で転がして、きれいに丸める。
前回までは先生の手の中で魔法にかけられたようにきれいに丸まっていく生地を見ては、自分との大きな違いにため息が出た。それを思い出しながら9課のDVDを見てみると、お、今度は違う先生だ。分割を学ぶ課ということで、前回までとは違う言葉と違う説明で、しつこいぐらい丁寧に解説してくれる。人によって理解のツボ、うまくいくツボが違うから、いろいろな先生が、いろいろな角度で説明してくれるのはとてもありがたいなあ。
特に開始から20分45秒あたりからの動画はすごい。先生が作業台の上でゆっくり生地を手前にひくと、生地表面がぐーっと丸まり張ってくるのをアップで見せてくれるのだ。すごくかわりやすいし、おもしろい。
理論の部分でも「丸めやまとめの作業はただ単にきれいにまとめるというだけでなく、分割によって断ち切られたグルテンをまとめ、整えてあげるという意味もある」と教えてくださった。自分がしなければならない作業一つ一つの意味がわかれば、技術も身に付きやすくなる。
というわけで、まずは「パン・ファンテジー」の生地を準備し、発酵を終え、丸め作業に入る。前よりも進歩して、かなりうまくいった、と思う。ちょっと上手く丸まらない時は、先生の動画を思い出しながらゆっくりやってみると、思いのほか上手くできたりして。スピードはまだまだ先生にはかなわないけれど、ツルツルに、ふっくらと丸まった生地たちは、ほんとうに可愛らしくて愛しい。この子たちを上手に発酵させてあげて、美味しく焼いてあげなくちゃ、という気持ちになってくる。
分割後、20分のベンチタイムをとって今度は成形である。顔や葉っぱのような形にする「フガス」の成形はとても楽しく、粘土遊びをしているような気軽さでできた。「シャンピニョン」「タバティエール」「ファンデュ」もそれぞれの形の違いを楽しんで作っていたら、いけない! 「コッペ」を作るのを忘れてしまいました。ごめんなさい。
と、ここまでは楽しく、コッペは忘れたものの大筋はうまくいったのだが、緊張するのはホイロから焼成の工程である。家庭用のオーブンでは作った生地全部をいっぺんに焼くのは無理。入りきれない人たちは成形されてホイロ70分後すぐに焼成とはならず、厳しい(?)室温の中、辛抱強く待っていなければならないからだ。発酵がすすみ過ぎてドヨンとした生地になったりしないかしら。
お待たせした第2グループ以降を焼いてみると、不安は的中していて、膨らみ自体はそんなに悪くなかったものの、逆さのポジションに置かれた「シャンピニョン」や「タバティエール」のかぶせた部分は、長い待ち時間の末べったりくっつき過ぎて、焼いても半分ぐらいしか持ち上がらなかったのだ。うーむ、これじゃキノコなのかなんなのか、よくわからない。食べれば美味しいけれど、「成形」を学ぶ課としては、不合格である。
布の上に置いておいた「フガス」は、天板に移動する際、形が崩れてしまったりしたので、うまくできたもの、びよーんとした形になってしまったのと、バラツキがあったのも残念。
翌日、今度は10課のグラハムブレッドに挑戦した。全粒粉を使ったパンは日頃家で焼いているので、お手の物である。ところが生地をこねてみると、DVDの先生の生地と見た感じが全然違う。ベタつかないで、すっときれいな生地にまとまった。
まとまったんだから、ま、いっか、とそのままこねあげたのだが、その日、室温が低かったのか、前夜準備した発酵生地は室温(20度)だったにも関わらず、こね上げ温度が25.5度とちょっと低め。うーん、こういう時はどうしたらいいんですか? 先生~と不安に思いながら70分のホイロが経過した。やっぱり。なんだか発酵具合が悪いような、生地が元気がないような感じ。張りがないというか。でも指を入れてみると戻ってこないので、いいのかな、と思い直し、分割、丸め、そして成形。
実はグラハムブレッドを作ると決めたくせに、型が手に入らなかったので、一本は家にあるプラムケーキの型を使用し、残りはバゲット状に伸ばして焼いてみた。できあがりはがっかり。膨らみは悪いし、棒状にした方は変な色だし。
なんだかとても嫌な気分で終わった9・10課。でも大事なことを学んだような気がする。不安があったら、その不安をそのままにしてはいけない、ということだ。さっそく先生に質問をしてみよう。そして11課は気合いを入れて、汚名挽回しようと思います。
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