「夏休み前のグループ実習!」~日本料理だけを学ぶ「新学科」ブログ9~
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4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエィティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の新学科として開校しました。
今日は日本料理実習「グループ実習」という科目を覗いてみましょう。
この学科では2種類の実習があります!
1つは個人実習といって各自が同じ教材(魚や野菜など)を使い魚の三枚おろしや刺身を切る。
野菜では桂むきをはじめ切り方の基礎を全員が同じだけ練習する実習です。
包丁技術だけでなく、だし巻き卵、鯛のあら煮、鮎の塩焼きなど料理も個人個人で作りますよ。
入学後まずは個人実習の授業が続きますそして個々の技術を高めます。
その後並行してグループ実習もスタートします。
グループ実習では全員が同じ食材を調理するのではなくそれぞれ役割分担を決めて分散作業をします。
そして料理を毎回3、4品仕上げるのです。
今日の献立は大根、人参を使った紅白なます!暑い夏にはさっぱりと酢の物が嬉しい。
次は鯛の信州蒸しという料理。緑色の茶そばを鯛の身で巻いて蒸す料理です。
信州蒸しとは蕎麦を使った料理に、その名産地、信州の名を冠するのです。
アツアツのかけだしをかけて食べると最高~
そしてカラフルな具材が盛りだくさん!
これ南蛮ご飯と言います。簡単に説明すると海老、鶏肉、夏野菜を油で揚げて釜めしに混ぜたごはんです。
油で揚げることでうま味とコクが増し若い学生には大人気のごはんです。
なぜ南蛮と名が付くかは話しが長くなるので今日はやめときます。
以上3品をこれからグループで作ります。
グループ実習の最大の目的は複数の料理を同時においしい温度帯に仕上げること!
勿論、盛り付けの美しさや衛生面もこだわりますよ。
まずは紅白なますの大根、人参を短冊切りにする。南蛮ご飯の野菜を切る。
それから鯛のウロコ、内臓を取り除く「水洗い」といった作業から各テーブル始まります。
これまで個人実習で全員が鯛の三枚卸しは何度もやってきました。
卸す手つきが慣れていますね。写真からもわかります。
中骨に身が全く残らず卸せています。すごい!
本日担当の大引先生からアドバイス
「鯛は蒸して火を通すから腹骨の付いていたところの薄皮は残してもいいぞ!刺身の場合はきれいに取り除こう」
ハイ!わかりました。
卸した身に塩をまんべんなく振ります。ポイントは約30㎝上からふること!
そうすることで均一に塩がふれます。
今日は薄塩なので写真ではわかりにくいけど、均一にふれています。このまま20分置きます。
ところでなぜ塩をするのですか?
「事前に塩をすることで鯛の身から余分な水分を抜くことができます。
この余分な水分に臭みがあるのです!そして適度な塩味もつく!」
「ほら、鯛の身から余分な水分がぽとりと出ていますよ」このひと手間がおいしさを生むのです。
並行して他の学生が一番だしを引きます!だしの引き方もこれまで個人実習で何度もやりました。
一番だしは静かに漉すことで雑味がなく透き通っただしとなるのです。
一番だしが引けたら必ずグループ全員が味見をします。
だしの引き方は単純だけれどポイントがずれるとおいしくありません。
「オイ!今日のだしはうまいか?」といった表情で向こうからクラスメイトが見つめます(笑)
超うす切りにした葱を布巾に包み流水で洗います。
そしてモミモミすることで葱から出るヌメリが取れて臭みが取れるのです。このひと手間も大事!
これを「洗い葱」と呼びます。南蛮ご飯に最後まぜるよ!
これは松の実と言います。初めて見る人も多いはず、イメージはピーナッツをもう少し油っぽくしたやつです。
空鍋で煎ることで焼き色が付き香ばしが出ておいしくなります。
だけど食べすぎ注意!カロリー高いよ(笑)今日は紅白なますと一緒に食べます。
グループ実習は180分で行います。約70分が経過。
各グループとも、そろそろ仕上げの準備となります。
南蛮ご飯は土鍋で炊きます!
土鍋で炊く利点は鍋の素材が「土」でできているため火の伝わり方が金属よりゆっくりと伝わります。
最初は沸騰するまで少し時間がかかるけど、その後は弱火にしても鍋の中ではだし汁がグツグツの状態!
米も底に落ちることなく激しく踊っています。これがムラなくおいしくご飯を炊くコツなのです。
その前に米の計量を間違えると台無しです。しっかり計れ!
南蛮ご飯の具材が揃いました。
海老、鶏肉、カボチャ、しめじ、アスパラはこの後油で揚げます。刻みネギは揚げないぞ!
オッ!カボチャがこんがりとおいしそうに揚がっています。食欲をそそる色です。
すべて揚げ終われば、炊き立てのご飯に盛り付けます!冷めないように急げよ!
カラフルで美しい南蛮ご飯となりました。
おいしいは勿論のこと美しく見せることもプロの技、そこもこだわろう!
「先生、俺の盛り付け見てください!」具材がバランスよく盛られています。いいね!
記念にカシャ! 来年の年賀状に使えますね(笑)
南蛮ご飯を蒸らすこと15分!その間にその他2品を仕上げます。
鯛は身の厚い部分は半分にへぎます。
鯛と並行して茶そばがゆであがりました。
鯛の身で茶そばを包みます。さー急いで!みんなでやるよ!
後は強火の蒸し器で8分蒸せばOK!
信州蒸しが蒸し上がるまでの間、並行して洗いものをします。常に清潔感を保つこともプロの技!
こちらでは、紅白なますを盛り付けます。器がいいと料理が引き立ちます。
料理は盛り過ぎずこんもりと! 日本料理って感じです!
蒸し上がった信州蒸しには刻み葱をてっぺんにちょこんと盛り付けて完成!
料理3品が仕上がりました。
グループ実習では常にそれぞれの料理のおいしい温度帯にこだわります。
紅白なますは冷たく、信州蒸しはアツアツ、南蛮ご飯も温かく食べたい!
同時に一緒に食べるので仕上げの時間はいつも忙しい!さぁ食べよう。
今は黙食!その分、集中して食べられます。
「オッなますの酸味がまろやか!想像より酸っぱくない」
心の中でつぶやきます。(笑)お疲れ様でした。
▶前回の日本料理新学科の記事はコチラ!
~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエィティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。