「キャリアクラス」って何?(調理師本科キャリアクラス)
こんにちは。調理師本科キャリアクラスの鶴見佳子です。
5月のある日、職員室横の掲示板で小さなポスターを見かけました。
「学生ブロガー大募集!辻調の在校生広報大使として学生生活をPRしてみませんか?」
説明会に参加し、ブロガーに応募したのは、私の属する「キャリアクラス」を紹介したいと思ったからです。なぜなら入学前にキャリアクラスの実態がわかりづらく、これからキャリアクラスへの進学を検討している人に役立つのではないか、少しでも情報を発信できたら、と考えたのです。
調理師本科には、調理クラス(1年制)、調理と製菓のダブルマスタークラス(同)、フランス校留学コース(調理クラス1年と留学)などいろいろなコースがあり、その一つに「キャリアクラス」があります。
大学や短大、専門学校などをすでに卒業した後、辻調に入学する人、就職後あるいは仕事を続けながら辻調に入学する人など、成人や社会人経験者が属しているのがキャリアクラスです。
私のクラスには21歳から62歳まで36人(男性19人、女性17人)が学び、20代から30代前半が多い一方、40代後半以上の〝チーム昭和〟も10人弱います。
担任は日本料理担当の橋本宣勝先生です(橋本先生とのエピソードは今後しばしば出てくると思うのでお楽しみに)。
「クラスに担任がいる」とか、「中間試験や期末試験がある」とか、私にとっては数十年ぶりで、とっても新鮮です。
入学前は、自分が最年長じゃないかと想像していたのですが、定年退職を経て辻調に入学したKさん、Mさんがいたので、年齢的には私はクラスで上から3番目です。
中国、韓国出身のKさんとEさんもいて、彼らももちろん社会人出身。日本語に長けていますが、難しい専門用語も多い中、毎日、オール日本語で勉強している2人を、私は本当にリスペクトしています。
会社から派遣されて学生をしているYさんは、「僕にとって、ここで学ぶことが今の仕事」と言います。会社を背負いながら学業をこなしている姿勢に頭が下がります。
オープンキャンパスの時に、同じ班で説明を受けたKさんとは、入学後に「同じクラスで会えたね!」と喜びあいました。彼女も働きながら学んでいるタフな女性です。
学校を終えてから、飲食店で働いている人も少なくありません。
精力的に働き、学ぶ。同級生のそんなガッツを見ることが大きな励みになります。
これまでの職業人としての毎日と比べ、一番驚いたのは「ここでは誰も名刺交換をしないんだ〜」ということでした。
名刺を交換して関係を始めるのが当たり前という日々を35年間、送ってきた私にとって、「名刺なしの毎日」って本当にびっくり。今ではもう「名刺ケース」も携帯しなくなりました。もっていくのは、クラスと学生番号と名前が書かれたネームカードと学生証、個人用ロッカーの鍵、定期券。これらを調理師本科の1年生を示す、緑色の紐のついたネームホルダーに入れ、首からぶら下げて通学しています。通学定期券の安さも感動もの!
学生名簿すらありませんが、教室の席の近い人同士や同じ班で調理実習をする人同士で自然に名前を覚え、仲良くなります。自主的に連絡先を交換し、たまには授業後にカフェに行ったり、勉強をかねて食べ歩きをすることも。
キャリアクラスは全員、成人ですからお酒はOKですよ。初めての中間試験が終わったあとは、みなで打ち上げの飲み会に行きました。天王寺駅近くの居酒屋で、破格の「学生料金」でカンパイ!
先生から名刺をいただくことも、メールアドレスを交換することもありませんが、職員室の扉は常に誰にも広く開かれているので、気軽に訪ねていきます。
もっとも職員室では、調理実習室の時の「白帽」を身につけておられないので、ららら、帽子を脱いだら、先生はこんな髪型だったのね、と発見することもあります。
キャリアクラスには毎日、本当にいろいろな発見があります。
さあ、今日もしっかり洗濯した白衣にきりりとアイロンをかけて、いざ、キャリアクラスに出発!
次回は「安全と衛生は体にたたきこむものだった!」。お楽しみに。
プロフィール
鶴見佳子(名古屋市出身、大阪市在住)。
新聞記者、文筆家(フリー)を経て、現在、辻調調理師本科(キャリアクラス)に在籍。50代の学生ですよ!
趣味は落語(アマチュア落語家「大川亭知どり」も私のもう一つの顔)。
目標は「食堂あおぞら」の店主兼調理人。これを人生最後のしごとにすべく勉強しています