「今日はクラス全員、鱧をさばきます!!」~日本料理だけを学ぶ「新学科」ブログ15~
韓国語で読みたい方はこちら
4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエィティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の新学科として開校しました。
今日は個人実習という授業の中で全員がハモをさばきます!
先生!ところでハモってどんな魚ですか?見たことも聞いたこともありません。教えてください。
まずは写真を見てください。ウナギ、穴子と同じように長い魚です。
体長は大きいものであれば1mくらいあるものもいます。
ハモは特に関西では夏を代表する高級魚として知られています。
家庭で調理するのは難しく包丁技術の必要とされる魚です。
とても「気が強く怖い魚」なのです。捕まえに行くと逃げずに向かってきます。
そしてこの鋭い牙で「ガブリ!」とかみつきます。想像しただけで「痛そ~」
見た目は怖いが食べるととても美味!
刺身は勿論、焼く、煮る、揚げる、蒸す、なんでもOK!
どんな調理をしても豊富に食べられるという意味から漢字で書くと魚編に豊をつけて「鱧」と書きます!
学生にとって今日が始めての鱧実習となります。
学生は授業当日までに辻調オリジナル動画「鱧のさばき方」を何度も観ています。
さばき方は勿論、ポイントもしっかりと理解しています。
また授業後もできていない点を再確認することができます。動画ってわかりやすいですよね。
個人実習は1回180分!一人1尾使って水洗いからスタート。鱧はウロコがありません。
しかし表面にヌメリがあるためしっかり包丁でこそげ取ります「ゴシゴシ」ほら表面に白いヌメリが出ているのがわかりますよね!これが臭みの原因となるのでしっかりと取り除きます。
その後、内臓も取り除きます。ここまでを「水洗い」と言います。
鱧は細長いため写真のように「目打ち」という道具を目の近くに刺して安定させます。
こうすることでさばきやすくなります。
鱧をさばくときのコツは包丁のミネを親指で押さえて引っ張るような感じで動かします。
そうすることで写真のように鱧が「ピィーン」とのびた状態となりスムーズにさばけます。
包丁が中骨の下に入らないようにじっくりと確認しながら、慎重にさばいています。
次の工程は皮側を上にして中骨から身をきれいに剝がしていく感じで包丁を動かします。
本日担当の松島先生からアドバイスです。
「ヒレの上に包丁の刃を当てながら肛門のところまで引いてごらん!」先生、この辺りですか?
「ほら、見てごらん中骨に身がこんなについているでしょ!これは包丁の角度が原因です。
この部分は45度くらい包丁の先を立てて使うこと。」ハイ!わかりました。
さばき終わるとこのようになります。鱧の骨は鯛、鯵とは違った形状です。細長い棒状の骨が1本ですね。
実は鱧の小骨はさばいた段階では取り除けません!身の中に無数と言っていいほどたくさん潜んでいるのです。
後ほど「骨切り」という作業で詳しく説明しますね。
次は背びれを抜き取ります。この工程はとても簡単です。
背びれの端を包丁で押さえて尾を引っ張って抜き取ります。「ビリビリビリ」と音がします。
背びれを取り除くと小さな穴が多数空いた状態となりますが、オヤオヤ~大きな穴が開いています。
これはさばく際、包丁を深く入れ過ぎた証拠です。次回は気を付けよう!
最後の工程は腹骨をすき取ります。腹骨の長さは20㎝ほどのため、すき取るようにすればスムーズです。
学生がさばいた鱧です。平均このレベルでした。
正直100点とは言えませんが始めてにしては良くできています。
包丁を入れる角度が原因で身の表面がところどころ、ざらついた感じがしますね。
これは松島先生がさばいた鱧です。表面が滑らかで美しい。次回はこれを目標に頑張ろう!
次は骨切りという工程に入りますがそれには「骨切り包丁」を使います。
日頃、魚をさばくときに使う出刃包丁と比べると形状が違うよね。そしてサイズも大きく重たそうです。
これは鱧の標本です。全身に小骨がたくさんあるのがわかるよね。
この小骨が鱧の全身に入っていると思ってください。この小骨は取り除けません。
そのため身に細かく切り込みを入れながら小骨を切ることが必要です。
骨切りも今日が初めての体験となります。
コツは骨切り包丁の重さを利用して力をあまり入れずに大きく前に突く感じで動かすことです。
まずはやってみよう。
身を薄く切るイメージで切り込みます。
その際、小骨も一緒に切れるので「ザッザッザッ」という音が聞こえてきます。
骨切りが終われば一口で食べられるサイズに切り落とします。
その際写真のように黒い皮が見える程度は切れていなければいけません!
理由は皮ギリギリのところまで小骨があるため皮が見えないということは骨が切れていない!という証拠なのです。
この状態で食べると口の中で「チクッ!うっ痛い」となります(笑)
松島先生のチエックが入ります。「この辺りは皮が見えていないよ!確認しながら骨切りして!」
一口サイズに切り分けて今日は鱧料理の代表とされる「鱧のちり」に仕上げて試食します。
切りそろえてザルに入れてこの後、ゆでて火を通します。骨切りが不十分だと食べられませんよ。
鱧は皮が固いのでまず皮だけゆでてから、身も熱湯に漬けます! 10秒程度でいい感じに火が通ります。
程よく火が通ればすぐに氷水に落として冷まします!
良い状態に火通りできたかどうかは、鱧を手で「ギュッ」とにぎり、水分を切ります。
その際、鱧の身が崩れるようでは火が通りすぎと判断できます。
身が崩れず良い状態です。美味しそうです!
鱧ちりには梅肉酢が良く合います。白い鱧の身に赤い梅肉酢、色合いもきれいですね。
試食は一口でパクッ!「皮は弾力があり、身は柔らかく食感もいいです!骨も感じません」
いい状態に仕上がったようですね。今後も鱧は個人実習でさばく、骨切りの練習を行います。
そしてグループ実習でも焼く、揚げるなどして数品の料理を完成させます。
お疲れ様でした。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエィティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。