「揚げたての天ぷらを提供!熱ッ」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ9~
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昨年4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。
今日は日本料理クリエイティブ経営学科2年生の授業を紹介します。
科目名は日本料理個人実習です。
この学科では「天ぷら」にヤバいくらい力を入れています(笑)
まず、彼らは昨年1年生時に1回180分間の天ぷら実習を13回受講!
外来講師「天婦羅 ひらいし」ご主人の平石先生をお招きしての授業でした。
平石先生は辻調理師専門学校の卒業生です。卒業後は大阪の料亭で16年間修業後、独立!
ミシュランガイド大阪版では13年連続で一つ星を獲得されています。
授業ではまず食材の下準備の仕方、天ぷら衣の合わせ方と配合、油の温度の見方、そして
どのタイミングで油から引き上げればベストの見極め方を理論的に学んだあと、
実際に全員が同じ作業をして徹底的にトレーニングしてきました。
どのような授業かは昨年のブログで確認してね! ここをクリック!
今日は2年生になった彼らが復習を兼ねて、自分の揚げた天ぷらをクラスメイトに食べてもらう内容です。
写真のように「海老でございます」「ハイ!なんか照れるな(笑)」って感じでやっていきますよ。
天ぷらは揚げたてを食べるのが絶対美味しい!
そのため高級天ぷら店では一品提供して食べ終われば次の天ぷらっといった感じで
客の食べるペースに合わせて揚げていきます。
天ぷらの盛り皿、天だしと塩はお好みで使い分けます。
食材は海老、烏賊(イカ)、青唐、茄子、白葱、その他、青じそなども揚げます。
2年生になった彼らには天ぷらの下準備で難しく思うものは何もありません。
海老はまっすぐ揚げるために切込みを数カ所入れてのばします。
茄子は切込みを入れて火通りがよくなるようにします。見た目もキレイ!
美味しい天ぷらとは? と聞かれれば私なら一言で「衣がサクッ」としていている天ぷら、
そしてたくさん食べても「胸焼けしない天ぷら」と答えます。
そのためのコツはまず「天ぷら衣の配合と合わせ方」です。
衣は薄すぎず、濃すぎず、粘りを出さないように合わせます。
次のコツは揚げ油の温度です!天ぷら衣を数滴ずつ落とします。
衣が鍋底まで落ちてゆっくりと表面に上がってきます。
これだと天ぷらを揚げる温度としては低いです。約160℃
この温度で揚げると衣がはがれやすく、揚がるまでに時間がかかるため、
食材に火が通りすぎてしまいます。衣もサクッとしません。
次は理想とする油の温度です。衣を数滴落とすと鍋底につかず、一気に上がってきます。
音もジュ~と言っている!これ!この状態で揚げればサクッと美味しい状態に揚がります。
約175℃~180℃
キミは何をしているのかな?
「ハイ!油の温度を耳で聞き分けています」カッコいい
金属製の箸を油につけて、水を湿らせた布巾で挟めばジュ~と音がします。
この音の大きさでわかります。「今、今!揚げろと」油が俺を呼んでいます(笑)
油が俺を呼んでいる間に、海老に下粉(小麦粉を表面につけること)をつけて
揚げている途中で天ぷら衣が、はがれにくくします。
海老を油に投入! ジュ~ワ~と油が噴水のように激しくなり
その後はジュワジュワジュワと徐々に激しさが落ち着いてきます。
このジュ~ワ~からジュワジュワジュワの微妙な変化を見落とすな!
これは天ぷら衣、海老に含まれる水分が蒸発していく状態で音に変化が生まれます。
オッ!そろそろ油から引き上げていいんじゃないか。
お見事海老がまっすぐ、衣もサクッと感があり、程よく香ばしさを感じる仕上がりです。
揚げたてをすぐに提供!
「海老でございます!塩か天だしお好みでお使いください。」
いただきま~す
次は青紫蘇です。これもサクッとした仕上がりで
途中で天かすはこまめに取り除きます。油は熱に弱いのです。
天かすのように余計なものを揚げると油が余計なエネルギーを使い、天ぷらをサクッと揚げる元気がなくなるのです。
そうか!ウルトラマンのカラータイマーみたいな感じですね。
ちょっと違いますね。
次は青唐、薄っすらと緑色がのぞくように薄衣で揚げています。
食べるとサクッ!
「茄子でございます、油を程よく吸った茄子は天だしで食べられることをお勧めします!」
自信をもってお勧めすることも大事です。いいぞ
途中油の温度調整と天ぷら衣の状態を常に確認しながら揚げていきます。
これは白葱です。葱の天ぷらは珍しいかもしれませんが意外と
衣を全体にたっぷりとつけて葱の風味を閉じ込めます。
次は烏賊を揚げますが理想は、衣はサクッ!烏賊の中心部分は生!といった感じですが仕上がりはいかがですか?
烏賊をパクッ!
食べている表情を見ればわかりますよね!
・・・すいません。表情が微妙でわかりにくかったです。
最後は、かき揚げです。小海老に烏賊、ささがき牛蒡、人参、三つ葉です。
かき揚げを上手に揚げるコツは下粉を多めに衣は少なめに絡めること!
衣が多いとサクッとしにくい。火が通りにくい!胸焼けしやすいなどが理由です。
鍋の端に向かってかき揚げを「そお~っと」入れてじっくりと揚げます。
ではかき揚げの揚げ方を動画で確認しましょう「そお~っと」入れるで!
かき揚げの完成!
このグループは茄子も細かく切って加えていますね。
茄子のかき揚げは意外と珍しいかも。味はどうかな?
「オッ!茄子の入ったかき揚げも美味しいじゃないか。
これは使える」といった感じで茄子をじっと見つめます。
今回は180分を使って天ぷらを提供し合う個人実習を紹介しました。
「うまそうに食うよね!」と言った感じで隣の学生が感心しています(笑)
実習お疲れ様でした。私も写真をたくさん撮りすぎてお腹いっぱいになりました。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。