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辻調理師専門学校

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「松花堂弁当は料理の温度差が大事!」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ14~

日本料理クリエイティブ経営学科

2023.10.11

2021年4月に日本料理本科(1年制)、日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。


今日日本料理クリエイティブ経営学科2年生の実習から、松花堂弁当について紹介します。
日本料理店ではランチメニューの定番です。
会席料理より値段の面では安価ですがこの弁当を仕上げはかなり難しいのです。

理由として松花堂弁当は「弁当」と名前が付きますが料亭などテイクアウトはしません!
その場で食べて帰る弁当なのです。
そのため全て同じ温度帯ではなくお客さんが食べて美味しい温度帯に仕上げなくてはいけません。

弁当を見て!
向って左上は「胡麻豆腐」これは絶対冷たくなければ美味しくありません!
その下の「とうもろこしご飯」これは逆に湯気が立つほどのアツアツが理想です!
向かって右上の枠には焼き魚、揚げ物、枝豆、厚焼き玉子など複数の料理が盛り付けてありますが
それぞれアツアツが美味しいもの、冷たく食べたいもの様々です。
右下の「がんもどき」は熱い状態で食べたいなあ。
理想とする温度帯で弁当箱にスムーズに盛り付けるのは至難の技です。
しかし!この学科の2年生ともなれば、ちゃんとやってくれるはず。では見ていきましょう!


学生は事前に今回作る松花堂弁当の作り方とポイントを講習授業で習っています。
その後、グループで作りやすいようにスケジュール表を作成、
それを元に打ち合わせを行い実習に臨んでいます!
それにしても書かれていることが細かい!やることが多い実習ですね。
実習時間は180分間!かなりハードですよ。


この魚は「うぼぜ」と言って関西ではおなじみですが知っていますか? 
全長15㎝ほどの白身魚です。
特に焼いて食べるとサイコー!今日も焼物に仕上げますよ。


実は学生は「うぼぜ」を卸すのは今日が初めてです。
しかしこれまで真鯛を何度も卸しています。
卸すときのポイントが全く同じなので、先生が指導しなくてもスムーズに卸しますよ!ほら!


卸したうぼぜの身は、胡麻の入った甘辛いタレに15分漬けて下味をつけます。
「アッ色が醤油色になっている!」 


身を丸めて串打ちすると立体感のある姿で焼き上がり家庭料理とは違うプロの盛り付けとなります。



「オッ!いい感じで焼けてるやん、ここで一回串をまわしとき!」「これくらい焼き色つけんとなぁ~」
担当の松島先生の関西弁が実習室に響き渡ります(笑)



今日のトウモロコシは「甘い!」生のまま包丁で実だけをむきます。
そして米と一緒に炊いて「とうもろこしご飯」とします。
ハイ先生手(パー)トウモロコシの芯も一緒に炊くのですか?
「そやねん、芯からも甘い味がでるから、捨てるのももったいないしなぁ」



炊き上がりはこんな感じです。弁当に盛り付ける寸前に「木製の型」に詰めて形をとります。
これは「扇面」の形ですね。



これは「胡麻豆腐」です。
特徴は弾力があり滑らかで「ツルん」と口に入るとフワ~ッと胡麻の香が何とも言えない感じとなります。
そうですよね、松島先生!「そやけど、練り加減が難しいよ!言葉で表現はむずかしいからなぁ」
「とりあえず動画を観てみて」


今日の実習はとにかく仕事が多い!並行して枝豆を塩ゆでします。これは常温でそのまま盛り付けます。
この緑色が盛り付けを引き立てるのです。もちろん食べてもおいしいし。


松花堂弁当には「だし汁」が多く使われています。今日のだし汁の味はどう?



こちらのテーブルでは「厚焼き玉子」の生地を作成中!
すり鉢の中で卵、魚のすり身、調味料をしっかりと混ぜ合わせます。その後は裏ごし卵生地を滑らかにします。
「めんどくせーなぁ、松島先生この仕事本当に必要ですか?」
すり身は均一に混ざるようにしないと食べたとき一部だけ固く感じるねん!そのひと手間が大事やで!



卵生地ができ上れば次は「スチームコンベクションオーブン」で蒸す、焼くを同時にセットON!
出来上がりは「ふっくら、しっとり」とこの通り完成です。



こちらでは「がんもどき」を作成中、まずは「豆腐を裏ごす」から始まります。
そのあと、卵、山の芋、調味料をよく混ぜて海老、キクラゲを具材として加え形を整えます。



松島先生手(パー)!あとは煮汁で煮て完成ですね!
「一つ忘れてないかい!煮る前に油で揚げることで香ばしさと油のうま味とコクをつけんねん」 



揚げた後は煮汁で5分も煮れば味を含みます。
がんもどきは冷やす、常温でも食べられますが今日はアツアツで仕上げます。
冷めないうちに盛り付けろよ!手前に緑色のさやいんげんを添えると見た目が鮮やかですね。


さあ!ほとんどの料理が仕上がってきましたよ。
これは長芋を煮て味をつけたあと「みじん粉」とよばれる、もち米を加工したものを表面につけて揚げました。
これも揚げたてのアツアツを食べたい!


いよいよ盛り付けに入ります。テーブルの周囲には完成された料理が集まります!
厚焼き玉子をひと口で食べられるサイズに切る!和え物を小さな器に盛り付ける。



周囲から「いそげー」「もっと丁寧に」「盛り忘れないように」などなど声が飛び交いますが、
目先の事ばかりが気になり忘れていないか?
松花堂弁当で大事なことは「熱い料理・冷たい料理・常温の料理」のメリハリをつけて仕上げる事!
これを思い出しラストスパート!


松花堂弁当の完成です!最後に盛り忘れがないか。よ~く確認しろよ!


では!いただきま~す!
「何から食べる」「まずは胡麻豆腐やろう」「食べる順番ってあったっけ?」どうぞ試食は自由に楽しもう。


目標とした「それぞれの料理の温度のメリハリ」はどうだったのか?
楽しい会話と共に食べるのもいいが写真の学生のように考えながら食べるのも楽しいよね。


こちらの二人は完全に疲れ切った感じです(笑)お疲れ様でした!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。