未来の私のお店、できました! ~デザインで夢をカタチに~
今日紹介するのは、製菓技術マネジメント学科2年生の授業の一つ、「マネジメント論」です。
この授業はお店を経営する上で重要な項目である、
経営の三要素「ヒト」「モノ」「カネ」を具体的に学ぶ授業です。
今回はその中の「モノ」(=デザイン)について学ぶ様子を紹介します!!
※ちなみに、マネジメント論の「ヒト」(=人材管理・自己管理)について学ぶ様子は、
コチラのブログをCheck!
辻調には、将来、自分のお店を開きたい!と考えている学生もたくさんいます。
その夢を、少しずつ現実のカタチへと、デザインをしていくのがこの授業の醍醐味です。
まずは講義でデザインの基礎を学び、色づかい、形や文字が与える心理的な効果、
ディスプレイの構成、見た目だけでなくお客様やスタッフの導線を考えた店舗設計まで学んでいきます!
例えば、床材。
ウォールナット(くるみ)という木材の、リアル素材(フローリング無垢材)と、
フェイク素材(塩化ビニール材)を手で触り比べてみて比較したり、
費用やイメージ効果、メンテナンスの違いなども学びます。
「え~ どっちか分からへん~~!!」と学生たちから声が漏れます。
そしてデザインの授業の最終回では、実際に、未来の自分オリジナルのお店をデザインし、
プレゼン発表もおこないます!
まずは、その準備段階の授業をのぞいてみました!
マネジメント論のヒト・モノ・カネの3つのうち、『カネ』(=お金)の授業で
自分の理想のお店のコンセプトを考え、ターゲットや立地、想定客単価なども設定します。
そこで考えたお店を、デザインの授業では視覚的に表現していきます。
ブランドカラーとそのバランスを決め、ショップカードやPOPをデザインし、
お店のファサード(お店の外観)を描いていく・・・とってもワクワクする授業ですね!
しーーーーーん・・・・ と、教室が静まり返り、みんな真剣に集中しています!
インターネットで実際の店舗の写真を見たり、レンガや石畳の細かいデザインを調べたり、
時には隣の席の友達にアドバイスをもらったりして、自分のイメージを膨らませ、描いていきます。
山本先生は、制作に取り掛かる学生に、具体的なアドバイスを出してくれます。
➤「アプローチの床の部分がのっぺりしているから、濃いめの色のレンガやタイルとか、
少し重厚感のある素材で考えてみたら?ぐっと引き締まるよ!」
➤「一色で'ベタ塗り'しているこの屋根、この部分を、少し消しゴムで縦に薄く消してみて!立体感が出るよ!」
➤「お店の玄関にグリーンの植栽を置いてみたら?雰囲気がガラっと変わるよ!」
➤「軒裏が真っ白だけど、グレーで薄く塗ってみて!影ができて奥行がでるよ!」
➤「この壁がへこんでいる部分は、茶色で、ほんの少し、壁の色を塗ってみて!遠近感が出るよ!」
と・・・個々の学生の状況に合わせて、的確なアドバイスが、パッとみただけで、どんどん飛び出ます!
実は、担当の山本茂臣先生は、実際に飲食店のデザインを手掛ける、プロの建築士の先生なんですよ~☆
豊富な実務経験に基づいた、的を得たアドバイスと改善提案はさすがです!
学生たちも半信半疑ながら、実際にそのアドバイスを取り入れてやってみると・・・
「わぁ、すごい!立体的になった!」 「全体のバランスがとれた!」 「雰囲気がよくなった!」と
興奮気味に喜び、その効果を実感して笑顔がこぼれます。
さぁ、完成に向けて、仕上げ作業を一気に加速させていきます。
続々と仕上がる作品は、まるでブティックのような洗練されたデザインのものや、
シルバニアのようなメルヘンなもの、クラシックな重厚感のあるお店、和テイストなど、
それぞれの学生の想いがギュッと詰まった、個性とセンスが輝く、素敵な作品がたくさん!
余談ですが、先ほどから写真に写りこんでいる、学生たちが使うこの色鉛筆は、
世界のデザイナー・クリエイター・アーティストたちの愛用ブランドとしても有名な
ドイツのFaber-Castell(ファーバーカステル)社の水彩色鉛筆。
こちらはビギナー向けで扱いやすい、通称'赤缶'ですが、
使う道具も、ホンモノ志向で、ブランドにもこだわってそろえるのが辻調の特徴のひとつです!
もちろん、1人1ケース、学校から貸し出しですよ♪
学生たちも、濃淡をつけたり、複数の色をまぜたり、上手に使いこなしています!
***
さて、翌週の授業では、資料も完成し、プレゼン本番!
コンセプトを反映したポイント、色使いやロゴのフォントなど、
工夫したところなどを、クラスのみんなに説明をします。
こちらの学生は、留学生ですが、慣れた日本語で上手に説明してくれます。
店名はVon Voyage(ボン・ボヤージュ) フランス語で「良い旅を!」という意味。
お客様に海外旅行の気分を味わってもらえるパティスリーとして、
様々な国や文化のお菓子を提供し、海外に行った気分になれるお店を考えたそうです。
お店のファサード(外観)にあるメニュー表は、
空港にあるフライトスケジュールのモニターをモチーフにしたとのこと。
お店の中は旅の異空間にしたいから、あえて窓もつくらなかったそうですが、
お店の中も気になる!見てみたい!と思いました。
よく見ると、商品も「3泊4日セット」と名付けられたアフタヌーンティーセットや、
パリ行のモンブラン、ロンドン行の紅茶セットがあり、
本場を連想させるキーワードに、見ているだけでワクワクします。
これには、山本先生も
「これはとにかくコンセプト勝ち!コンセプトをしっかり考えて
一貫した旅の演出が、細部にまで作りこまれているよね!」
と大絶賛!
お次の学生は・・・
店名はGrace(グレース) フランス語で「恵み」という意味。
立地は兵庫県の淡路島の海岸沿いを想定して、海を眺めて自然を感じながら、
地産地消の食材を使ったお菓子で、ゆっくり過ごしてもらいたいというコンセプト。
海岸の絶景を眺めて過ごせるように大きな窓を作ったり、
待合スペースで入店を待っている間も、キッチンで作っている様子が見える窓を作ったり、
お店のロゴ看板も、あえて壁をへこませてオレンジの照明をあて、印象づける工夫もしたそうです。
とくにお店のファサードやショップカードなども絵がとっても上手で、ひきこまれていきそうです。
家具や小物まで、細部にまでこだわって描かれているのが特徴的です。
山本先生からも
「ブランドイメージの世界観を再現できていて、イメージカラーも主張しすぎず
色のバランスが良いし、雨とゆや扇風機まで意図をもって描かれていて、
こういう"細かい仕事"は、人の心を打つよね~!」
と、好評でした。
お次の学生は・・・
お店の名前はESPLENDOR(エスプレンドール) スペイン語で「素晴らしい」という意味。
お店の計画の早い段階から、この茶色をベースとした落ち着いたレトロでシックな雰囲気を意識したそうです。
レンガの色合いや、照明、窓の雰囲気など、どこか懐かしい昭和レトロ感が漂いますよね。
見ているだけで、淹れたてのコーヒーの香りがしてきそうです。
メニューも、コーヒーとのマリアージュを考えたレトロ感のあるお菓子が並びます。
山本先生からは
「お店のロゴのフォントがいいよね!
ショップカードもファサードも、このロゴがインパクトを与えるし、
この形と色と文字の組み合わせは、心理的な効果が全然違うよね~!」
とのコメントに、「うん、確かに~!」と皆がうなずきます。
素晴らしい発表が続き、先生からの納得感のある講評とともに、
学生からも、「このお店に行ってみたい!」「レンガが印象的」「雰囲気がいい」など
クラスメイトを称える感想が飛び交います。
まだまだたくさんの発表があり、もっとたくさん紹介したいのですが・・・この後は入学後のお楽しみ!
この続きは、皆さんが自分の理想のお店をカタチにする番ですね!
開業準備の際、「デザインのプロに任せよう。」と思う人もいるかもしれませんが、
せっかくなら、できるところまで、自分の想いやこだわりをたっぷり詰め込んで、計画してみたいですよね?
デザインの勉強もして、世界にたった一つの自分のお店、一緒にえがいてみませんか?
~プロフィール~
辻調理師専門学校
専門講義科目グループ
担当授業:「社会」
小峰 幸恵
京都府出身
私の専門は、経営学(観光)の分野ですが、
本校の教職員になる前は、大手の住宅メーカーで営業の仕事をしていたので、
マネジメント論のデザインの授業のような
間取りの設計、デザインや照明を考えるワクワク感は、今も変わらず大好物です♪