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辻調理師専門学校

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実は世界一繊細!? 中国料理はダイナミックだけじゃない!

調理師本科
調理技術マネジメント学科
高度調理技術マネジメント学科

2021.05.21

中国料理といえば、大きな包丁や大きな鍋で、
勢いよくダイナミックに料理を仕上げていくイメージではないでしょうか。

日本の約25倍という広大な国土の中国、様々な技があって当然。
今日はそれらの中から包丁の技をお伝えします。

中国料理の包丁は「菜刀 ツァイダオ」といい、幅広で両刃、刃先はやや弓なりになっており、重みがあるのが特徴。

左から、「片刀 ピェンダオ」といわれる薄刃、「切刀 チェダオ」といわれる厚刀、
骨付きの鶏や骨付きのバラ肉などの固いものを切る「骨刀 グゥダオ」、
北京ダックなどで使用する「片鴨刀 ピェンヤーダオ」など、ひとえに中華包丁と言えど、
他にも様々な種類があります。

これらの大きな中華包丁一本で切り出す料理人の技がこちら。
鶏や蝶、鳳凰やエビなどのニンジンの飾り切りです。
炒め物などに入れ、料理を一気に華やかにしてくれる、芸術作品ともいえる技です。

他にも、「拼盤 ピンパン」と言われる、中国料理伝統の前菜。
中華包丁を用い、切り出したり、巻いたりしながらパーツを作り、様々な形を作ります。
今回は鳳凰を模したもので、鳳凰拼盤といいます。


片や、ペティーナイフのような小さな包丁や彫刻刀でも、中国料理の技術が冴えわたります。



このような技術は、年々上手にできる職人が減ってきているのも現状です。
辻調では、この技術を後世に伝える為にも、授業の中や別科研究講座の中など、
様々な場面で学生に教えていますが、花彫りや飾り切りは料理に負けないほど、毎年の学生に大変人気です。

料理に直接的に関係する包丁技術も沢山あります。
今回は、飾り切りの包丁技術「花 ホワ」を、イカの飾り切りでご紹介します。
加熱すると皮目が縮むイカの特徴を活かし、内側に切込みを入れて花が咲いたように
きれいに切込みが開くようにすることで、柔らかく、味が絡みやすく、見た目にも華やかになります。

今が旬のイカ。
中国語では写真左のスルメイカ類の事を「魷魚 ヨウユィ」、右側のコウイカ類のことを「墨魚 モーユィ」といいます。

中に入っている軟骨が全く違うのも特徴で、飾りを入れるのであれば、
厚みのあるコウイカ類を選ぶとよいでしょう。

イカを使用する際はまずは薄皮を剝き、二カ所ある軟骨も削り取ります。
薄皮は火が入ると口に残るため、こういった丁寧な仕事も大切です。

飾りを入れるのはイカの内側。
内臓に接していた面に、縦に切り離さないように厚みの2/3程度の深さに切り込みを入れます。

その後、格子目の切り込みや、包丁をねかせての切り込みを入れていきます。

切る細かさや切り込みの向きや長さなどで、
出来上がりをイメージして、様々な飾りを作り上げることができます。
左が包丁をねかせた物、中央が格子目、右が「双飛片 シュワンフェイピエン」と言われる切り込みの入れ方です。
花のように綺麗に切り込みを開かせるには、包丁技術は勿論の事、
火を入れる前にイカの粘りをさっと洗うと、綺麗に花のように開いてくれます。

イカの飾り切りを知ったら、料理になった状態も見てみたいですよね!
でも今日はここまで!次回はこの包丁技術を生かした料理をご紹介します。
今日のテーマとは相反する、「ダイナミック」の神髄を体現する料理。
通常の炒め物より超高温で短時間に仕上がる料理! 必見です!
お楽しみに!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 中国料理担当 船渡兼市
香港の「百樂潮州鮑魚飯店」にて研修。
現地の人々との交流を通して中国の食文化や潮州料理、広東点心や焼滷を学ぶ。
中国料理の理論の裏打ちされた、繊細でヘルシーな料理を得意とする。
学生からも評判の「楽しくて分かりやすい授業」がモットー。