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日本料理体験記~vol.9 滝川豆腐

     

Vol.9  滝川豆腐

みなさん、こんにちは。第16課は練り物、寄せ物です。
練り物というとどんな料理を想像されるでしょうか?

練り物とは、調理の課程でじっくり練る作業を行う料理です。
代表的なものに胡麻豆腐があります。
あの深い味わいや風味をだすためには、丁寧に練り上げる作業が欠かせません。

もうひとつ、寄せ物というのは寒天やゼラチンなどを使って冷やし固めた料理のこと。
寒天やゼラチンというと、ところてんや、ゼリーなどのお菓子を作る材料というイメージもありますが、あのぷるぷるとした柔らかい食感は、季節を演出する日本料理にも欠かせません。


さて、今回は涼しさたっぷりの滝川豆腐を作ってみました。  

滝川豆腐というのは、文字どおり川の流れを演出する料理です。
まず、今回使った寒天は棒寒天で、事前に水につけて戻します。
最近はすぐに戻る寒天なども市販されていますが、今回3~4時間、水につけて戻しました。戻したらだし汁に加えて弱火で約1割煮詰めるのですが、気をつけて混ぜないと寒天が溶け残ってしまいます。

寒天をしっかり溶かしながら、別の鍋を用意して豆乳を温めます。ここでの先生のアドバイスは、人肌より少し熱い温度にすること。火を入れすぎると、ゆばができてしまいます。ゆばができると旨みも一緒に抜けてしまい、豆乳らしい丸みのある味がなくなってしまいます。

「同時進行はやめて、まず寒天を入れただし汁の作業が終了してから、豆乳の鍋に取りかかれば焦らないでできる」と思いがちですが、寒天は温度が下がると少しずつ固まってきてしまいますし、このだし汁には寒天のほかにゼラチンも入るので、火を止めてのんびり作業しているとだし汁の状態が少しずつ変わってしまいます。
余裕を持って作業するには練習が必要だと実感しました。


だし汁に入れたゼラチンが溶けたら、裏漉し器に通します。やっぱり、溶け残りがありました。
ここで、丁寧に取りのぞくことでなめらかな食感に仕上がります。そこに人肌より少し温かい温度まで火を入れた豆乳を加えて混ぜ、ボウルに氷水をあてながらゆっくり混ぜていきます。温度が下がると少しずつ固まっていくので、ボウルの状態が変化するのがわかります。

粗熱を取ったら、流し缶に流し入れます。ここでポイントは、しっかり表面の泡を取ること。泡をそのままにしておくと、できあがりの生地の表面に小さなくぼみができてしまいます。私は少し泡を残してしまったので、ニキビの跡のようなでこぼこが、ちらほら残ってしまいました。


ここまでの作業は一気に進め、生地が完全に固まるまでの間に、旨だしを作ります。旨だしは、だし汁にみりんや薄口醤油などの調味料、削りがつおを加え、ネル地で漉して冷やします。

ここでのポイントは薄口醤油だと思いました。乳白色の滝川豆腐には、薄い色をしただしがぴったりです。濃口を使ってしまうと、色が濃くなって重く見えますし、肝心の"涼しさ"からも少し遠ざかってしまいます。冷やし固めた生地を川の流れのように形づけて器に盛ったら、旨だしをかけ、すりおろした柚子の皮をふりかけて、できあがりです。



作ってみた感想は、シンプルな調理ながらタイミングを逃すと失敗してしまう料理だということです。
さて、味はどうでしょう。

豆乳の丸みのある味となめらかでぷるんとした食感が旨だしが一体となった、優しい味わいに仕上がりました。爽やかな柚子の香りも、涼しさを感じさせてくれます。
豆乳には良質のたんぱく質が、寒天には食物繊維が豊富に含まれていますので、美容や健康のためにも積極的に取り入れたい料理だと思いました。

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