辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 通信教育部 ブログ

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製菓受講日記 ⑧ メレンゲ生地

今回のテーマは・・・ 

第13課 メレンゲ生地   

第14課 乾燥メレンゲを用いた菓子  







今回の課題はメレンゲ。実はメレンゲの作り方って、素人向けのお菓子の本にはあまり紹介されていない。少なくとも私が持っているお菓子の本には、ちゃんとしたメレンゲのレシピは見当たらない。ところが、お菓子を作れば作るほど、卵白がいっぱいあまる機会は多いというこの矛盾。プロの料理人やパティシエであれば、いろいろと利用方法もあるのだろうが、素人パティシエはレパートリーも少ない上に、毎日お菓子を作るわけではないから、余った卵白の利用法に困るのである。するとどうしてもまず頭に浮かぶのが「メレンゲを上手に作りたい。そうすればこの大量に余った卵白を消費できる」というアイデアなのである。


それで、素人向けの本に書かれていないメレンゲの作り方をめぐって、まず頭に浮かんだのは「メレンゲってそんなに難しいのだろうか?」ということ。卵白を泡立てて砂糖を加えて焼くだけのようだけど、全然焼き色がついていないということは、実は焼き方にすごい技が必要なのだろうか?「素人がしないことをやってみたい」という気持ちだけプロ級の私は、そこで、世界的にビッグな某フランス人パティシエのレシピ本を開いた。そこに書かれた通りにやると、なんと、とても上手にできるではないか。焼く温度が超低温で、超長いというだけで、難しいことは全然ない。というわけで、今日まで私はメレンゲ得意! と思い込み、馬鹿の一つ覚えのように、卵白が余るたびにメレンゲを作りまくっていたのである。


だからと言って今回の講義をさぼったりはしませんよ。DVDを見て、テキストを読み、メモをとり、いつものようにお勉強した。するとどうだ。某スターパティシエの本には書かれていない、プロのコツ、のようなことがいっぱい出てくるではないか。スターパティシエは、卵白は室温で3~5日ほど置いて古くなった方が泡立ちやすく、いいメレンゲができると書いていて、一応それに従ってやるのだが、いつも「腐ってないよね? 大丈夫だよね?」と少しドキドキしながらやっている。思いついた時にすぐに作れないのも、困りものだ。


一方、先生は卵白がどういう状態だと泡立ちやすいか、泡立ちやすい状態だときめの粗いメレンゲになり、それは食べた時もろくて口溶けがいいのでどういう菓子に適しているか、またその反対のケースも、とても科学的に説明してくれて、わかりやすく、おもしろい。同じメレンゲでもフランス風、イタリア風、そしてスイス風と3つの別の作り方があるのにも、やっぱりプロの仕事は奥が深いなーと感激。


さっそく3タイプのメレンゲ作りをやってみる。まずはオルディネール=普通の、という別名があるムラング・フランセーズだ。いきなりモンブランに挑戦。だって食べたいんだもの? メレンゲは難なく完成したような気もするが、写真を撮って先生のものと比べると、泡立った時の角の立ち方が弱いような気がする。うーん、まだまだ、とかなり泡立てたつもりでも、離水してしまうのが怖いのもあって、それ以上は泡立てられなかった。先生のように丸く平らには絞れず、口金を離すときの跡が少し残ってしまう。こういう細かい技ももっと練習しなくては。焼き時間を先生は100度で3時間とおっしゃっているが、うちの家庭用オーブンでは、3時間焼いた時点では芯にネチッという感触が残っていたので、さらにもう1時間焼く。そうしてできあがったメレンゲにパータ・グラッセでコーティングしたりして、なんだかちょっと、プロっぽい! しかしこのコーティングはただ単にチョコレート味を加えるためではなく、後からのせる生クリームの水分がメレンゲに直接触れないようにするためとは、恐れ入りました。


イタリアには、というか私の住むトリノ周辺ではパート・ド・マロンが手に入らなかったので、それに近いと思われるマロン・クリームを購入し、味と固さを見ながらクレーム・オ・マロンを作った。うまくできたなあ、さあ、絞ろう! と買ったばかりのモンブラン用の口金をつけた絞り袋を絞ると、モンブランというよりは、茶色い素?ののった小山、という感じでかっこ悪い。そう、トリノで売っていたその口金は穴が異様に狭いのであった。ちなみにイタリアのスイーツの都とも言われるトリノには、モンテ・ビアンコ、つまりモンブランがあるけれど、マロン・クリームをあんな風に細く絞っていない、全くの別ものだ。しかたがないので、1ミリ径の丸い口金を使って、行ったり来たりを何度もしながら絞った。できあがりは、すごい! おいしい! モンブラン自作しちゃったよ! 
感動した勢いにのって、次はムラング・イタリエンヌを作る。3課でパータ・ボンブを作った時に、「シロップを115度位に熱し、沸騰してきたところで卵白を泡立て始め、立ってきたところにシロップを加えてさらに泡立てる」というやり方の大変さ、失敗点は、嫌! というほど失敗し、学習しているので、完璧とはいわないまでも、今回は慌てずにできた。ただ、やっぱり少し、泡立てているボウルにシロップが触れたとたんに冷えて固まってしまった部分もあったので、次回は泡立てる容器を少し温めてみたらどうだろう、と思ったり。うんうん、日々、学習している自分が嬉しいなあ。


ムラング・イタリエンヌではロシェ・ココに挑戦。と言っても、ココナッツの細かいフレークが入手できなかったので、アーモンドで代用してみた。とてもおいしいのだが、岩というより、ちょっとぐちゃぐちゃのお団子みたい。絞り袋も使わず、スプーンで成形するだけの方法は、簡単なようで、なかなか難しい。 最後にムラング・スイスを。なかなか泡立たないけれど、泡立ったらすごい。ムラング・イタリエンヌでさえ、普通のメレンゲに比べたらむっちり、どっしりという感じなのに、こちらはさらにどっしり。焼いてみると、ボリボリとしっかりした口当たりで、おお、これでお人形など作るのね、なるほど、という感じ。応用は時間切れでできませんでした。ごめんなさい。


今回は、得意と思って作り続けてきたメレンゲのレパートリーと応用力が向上して、とても嬉しい課題でありました。

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