辻調理師専門学校 辻製菓専門学校 通信教育部 ブログ

  1. ホーム
  2. 通信教育部 ブログ
  3. 受講生日記
  4. 製菓受講日記 ⑨ メレンゲをベースに作る生地

製菓受講日記 ⑨ メレンゲをベースに作る生地

今回のテーマは・・・ 

第15課 メレンゲをベースに作る生地   





今回は「メレンゲをベースに作るお菓子」である。ふふん、メレンゲを習得した私にとって、そんなものは怖くはないわ、とテキストを見てみると、なんと「ダクワーズ」や「マカロン」など、昨今のスイーツブームでも人気のお菓子が勢ぞろいしている。これは早速上手に作れるようになって、イタリアの友人たち=日本では簡単に手に入るデリケートなフランス菓子に飢えたイタリア在住の日本人たち、にご馳走してあげなければ、と俄然張り切る。

イタリアにはイタリアの素朴でおいしいお菓子はたくさんあるけれど、すぐお隣のフランスのものはなぜか毛嫌いされていて、なかなか手に入らない。実は嫌いなんじゃなくて、「昔はおれたちがシャーベットの作り方も鴨のオレンジ煮のレシピも教えてやったのに、なんだか最近(何世紀も、だけど)、フランスのほうがお菓子や料理で偉そうにしているじゃねえか、なんか気に入らねえ」、とイタリアがすねているというのが実情なんじゃないかと私は思っている。たまにフランス風の料理やお菓子にであうこともあるが、あくまでも「ふう」であって、似て非なるもののことがほとんど。というわけで、余談が長くなったが、まずはダクワーズに挑戦です。


生地の準備は比較的簡単。すでに14,15課でお勉強したメレンゲを作ったところへ、アーモンドの粉と粉砂糖を同量ずつ混ぜあわせたT.P.T.と薄力粉を加えるだけ。鬼門は型で、イタリアで少なくとも私の住むトリノでは見つからず、日本の友人から送ってもらうという難儀をした。ダクワーズなんてイタリアでは見たことも聞いたこともないから、型が売っていないのも当然か。


型に霧をふき、それから生地を絞り込んだら、型をそーっと外し、粉砂糖を2,3度振りかけてから焼く。この粉砂糖が焼けた時に、表面のカリカリした層になるんだそうだ。ほんとうかしらん。我が家のオーブンは、焦げやすい傾向にあるので、180度で10~15分焼くとテキストにはあったが、10分ちょい前で見てみたらすでに焼けている。ちょっと焼き色が付きすぎた感じ。2台目(生地は30個分だが、一枚の天板では15個しか焼けなかったので)は170度に下げて焼いてみる。あれれ、すると焼き色はいい感じだけれど、最初の温度が低く、生地が焼きしまる前にだれて、形が少し崩れてしまった感じだ。1台目に焼いた分も、冷めてからよく見ると、そんなに焦げすぎという色ではなかった。焦げやすいという思い込みのせいで、ちょっと焦ったための失敗でした。

プラリネ風味のバタークリームを挟んで早速食べてみると、すごーい、本物のフランス菓子屋さんで食べるみたいな味である。



おいしい勢いに乗って、次はマカロン・ムーだ。

DVDで先生が「マカロンは少しテクニックが必要」とおっしゃった。私の頭の中で難易度ランプが一つ点滅する。難しいんだな、という緊張ランプである。見ていると、メレンゲに粉類を混ぜるというのはダクワーズとほぼ同じ作り方なのに、不思議なのは、メレンゲと粉類を混ぜてからかき混ぜるほどに、生地がトロリと柔らかくなっていくということだ。単純な私の頭はそこで「すごーい! 料理って科学だよねー」と感動してしまって、その後に先生がおっしゃった「かき混ぜすぎると柔らかくなりすぎる」という一言を聞き逃してしまった、いや、聞いてはいるのだが、頭に引っかかっていないというか。

実際に作りだして、かき混ぜるとトロトロ、かき混ぜるとトロトロ、と考えながらかき混ぜる、あー、ほんとうだ、こんなにトロトロになってきたよー、と感動しまくりながらどんどんかき混ぜてしまってから、ハッ! あれ、先生かき混ぜすぎては柔らかくなりすぎるって言っていなかったっけ? こんなにトロトロになっちゃって、天板の上でだらーっと流れてしまうのでは??!! 思った通り、私のマカロンちゃんは、天板の上でびろーんと大きく広がり、マカロンというより小型のお好み焼きみたいだ。いや、焼いたら少しは膨らんで、まあちょっとサイズの大きいマカロン、ということにならないかしら、と気を持ち直してオーブンへ。


だけどテキストは「200度で4,5分焼いて"ピエ"と呼ばれる、マカロン特有の生地が底面から横にはみ出した感じのものができたら、160度の別のオーブンへ移す」というのだが、先生! 私の家にはオーブンは一台しかありません! いや、普通、この講座を受講している未来のパテシエの家には、2台オーブンがあるなんてことは稀なのでは! だめじゃん、できないよー、と半ば諦めながら、ふと、テキストの欄外を見ると「2台オーブンがない場合は」とちゃんと書かれているではないの。ほっ。さすがケアが細かい。


書かれている通り、最初200度に熱したところへ入れてみると、できたできた、ピエができたので、オーブンの扉を思い切り開けて温度を下げてから、再度160度にセットしなおして焼く。


果たしてできあがりはツヤツヤできれいだが、やっぱり少し平べったい。帰ってきた夫の「なに? おいしそうなビスケットだね」という一言が神経を逆なでる。キー、これはビスケットじゃない、マカロンじゃー!!!  だけど、ラズベリージャムと、ダクワーズで作ったプラリネ風味のバタークリームを挟んだマカロンは、とてもとてもおいしかった。同じような材料で、同じような作り方なのに、焼き方、ちょっとした一手間で、こんなに違う2つのお菓子ができるなんて、「やっぱりこういう点ではフランス人を尊敬するべきだと思うよ、イタリア人諸君!」と認識を再確認した今回のレッスンでありました。







  • 一覧を見る
ボーダー