第15課 材料(2)砂糖・卵・油脂/16課 ソフト系のパン(2)
2015.10.28 カテゴリー:受講生日記
製パン技術講座を体験中の宮本さやかです。イタリアのトリノに暮らしていますが、辻製菓専門学校にいるかのような中身の濃い授業が受けられること、教材がとてもわかりやすくて楽しく続けられることに惹かれて、数年前に日本料理の講座を履修したことから始まり、次に製菓、今回の製パンと通信にはまっています! フードジャーナリストという仕事をする私にとって、たくさんの料理人や業界のプロの方達を取材する時に、ここで得る専門的な知識はとても役に立ちます。そして在住日本人の奥様方にイタリア料理を、イタリア人に日本料理を教える仕事もしていますが、その時にもここで得た専門知識が頭の中にあることで、自信を持って仕事ができています。 |
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今、16課の課題のブリオッシュを成形し終わり、ホイロに入れている間にこれを書いている。今回の15課のねらいは「砂糖、卵、油脂が生地に与える影響を学ぶ」だ。
砂糖や卵、バターがたっぷり入ったパンは、甘くて柔らかくておいしいけれど、これらの副材料が味を左右する以外にも大きな役割を持っていること知らないと、いろいろなバリエーションのパンを作ることはできない。
卵を塗ってツヤを出す? 砂糖がイーストの栄養になって発酵をよくする?? というようなあいまいな知識しかなかった私は、テキストを読みDVDを見て勉強し、また新たな知識が増え、ちょっとだけだけどプロに近づいたようでてとても嬉しい。
砂糖は「焼成時の色付きをよくする」「香ばしくする」他に、イーストの栄養源になる、とここまでは知っていたが、それは5~10%の配合の場合で、20%を超えると生地のつながりや発酵に問題が起きてくる、というのは知らなかった! だから菓子パンのように甘い(砂糖をたくさん入れた)パンを作る時には、それなりの工夫、テクニックが必要なのだ。
15課でハードロールとアインバックを作ってみると、リーンな配合のハードロールに比べ、砂糖をはじめとする副材料が多いリッチなアインバックはイーストも増やし、発酵を助けるレシピになっていることがわかった。テキストのレシピ欄に、ベーカーズ・パーセントが記されているので、違いが一目瞭然でとてもわかりやすい。
話はちょっとそれるが、それぞれの課の狙い以外にも、パン作りのポイントのようなことを、先生が随時話しながら作業してくださるのもとてもおもしろく、役に立つ。たしか前回は「こね具合を確かめるときは、生地の一カ所だけでなくあちこちをさわってみること」とおっしゃっていたし、今回は、「ハードロールを作る時に、割れ目が弾けるように膨らんだ焼き上がりにしたければ発酵を少し早めに切り上げること、反対に発酵をしっかりすると、膨らみ、割れ目がおとなしめに仕上がる」と教えてくださった。
さて、16課の狙いは、「油脂や副材料が多いソフト系のパンを作る」。
砂糖と同じように、卵も、油脂も、適量入れることで風味をよくしたり、製品の口当たりに変化を与えたりするが、その適量を知った上でさらに作業テクニックを知らないと上手く扱えない。特にブリオッシュは、なんとバターが50%も配合されている。卵だって25%だ。こんな配合の生地を成形して焼いてパンに仕上げることができるなんて、これはもうマジックみたいだ、と思ったけれどそうじゃない。マジックなんかではなくて、豊富な経験に裏打ちされた技術の賜物なのだ。それを伝授していただけるなんて、ほんとうにありがたい。
ただ今回、一つ残念だったのは、ブリオッシュ型を購入できなかったことだ。だから先生が使われている金属製ブリオッシュ型ではなく、紙製のマフィン型で焼いた。
紙なので、型の中でびよーんと発酵しだらしなく膨らんでしまったものは変な形のブリオッシュに仕上がった。いくつかは紙のマフィン型をプリン型に入れたので、伸びて変形してしまうことは避けられたが、見た目はマフィンになってしまった。焼き時間も、DVDで使用している金属製のブリオッシュ型よりも熱伝導が悪いのか時間がかかり、型のある部分は焼き色がつかないので、表面が焼き上がったらいったんオーブンから出して型から外し、再度数分、多めに焼くという工夫が必要だった。
とはいえ、パン作りの経験の浅い私が、魔法のようにフワフワでしっとり、そしてバターの香り高いブリオッシュを焼き上げた。
トリノのレストランでコック長を務める夫は、それを味見して言った。「マンマ・ミア! なんて柔らかいんだ。僕の作るのは、これに比べたら石みたいだな」。うふふ、先生方、ありがとうございます!!
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